
「もっと良い感じにして」
「なんか違う」
「かっこよくして」
「微妙。やり直して」
これは、生成AIを使い始めた人がほぼ100%通る道なんですが、これが当たり前になると、現在のAIを使いこなせないという、沼に入ってしまいます。
結論をはっきり言います。
感想や感情だけでAIとやり取りするのは、やってはいけない使い方です。理由はシンプルで、AIが推測しないといけない変数が増えすぎるからです。
その結果どうなるかというと、
- それっぽいけど意図と違う
- 無難で薄い文章になる
- 修正しても修正しても積み上がらない
- 時間だけ溶ける
- ときどき、もっともらしい嘘(ハルシネーション)が混ざる
こういう違和感が起きやすくなります。
この記事では、「じゃあどうしたらいいの?」を 具体例とテンプレートをご紹介します。読んだあと、AIとのやり取りが短くなって、アウトプットが安定するはずです。
そもそも、なぜ「感想だけ」だと期待通りにならないのか?
ここでいう感想とは、だいたいこのような言葉です。
- 良い/悪い
- なんか違う
- もうちょい丁寧に
- もっと刺さる感じで
- かっこよくして
- 読みにくい
- もっと分かりやすく
これらは、人間同士なら成立するでしょう。なぜなら、人間同士なら「共通の前提」や「空気」で補完できるからです。
でもAIは、あなたの頭の中の基準をそのまま読めません。つまり、感想だけで投げると、AIはこう考えます。
- どの文章の、どの部分を直すの?(箇所が不明)
- 何が問題なの?(原因が不明)
- どうなったら正解なの?(ゴールが不明)
- どの方向に寄せればいいの?(優先順位が不明)
AIは正解を作る前に、正解を当てにいくことになります。
そしてこの「当てにいく」状態が、まさに
推測する変数が多い
→ 意図とズレる
→ 期待外れになる
の正体です。
変数が多いと何が起きる?
感想だけで進めると、AIは「とりあえず良さそうな内容」に寄せようとします。このとき、よくあるズレ方が5つあります。
1、AIが「無難」に逃げる(一般論が増える)
前提がないと、AIは安全運転になります。結果、誰にでも当てはまるきれいな一般論が出てきます。
丁寧っぽいけど、刺さらない。
ボリュームあるけど、使えない。
この状態になりやすいです。
2、直す場所を外す(本当は冒頭なのに語尾だけ直す)
「なんか違う」を直そうとすると、AIは手近なところから直します。
- 語尾を丁寧にする
- 形容詞を増やす
- 構成を少し変える
でも、あなたの「違う」は多くの場合、そこじゃない。
たとえば本当は、
「誰向けかがぼやけている」
「結論が弱い」
「根拠がない」
「導線がない」
こういう構造の問題なのに、表面だけ直して終わることがあります。
3、修正するたびに前回の良い部分が崩れる(積み上がらない)
感想だけで修正を繰り返すと、AIは最新の指示(=感想)に引っ張られます。
すると、前回合っていた部分まで崩れやすいです。
「さっき良くなったのに、また戻った…」
これは、感想だけでやり取りしてると、起きます。
4、AIがそれっぽさで補完し始める(ハルシネーションの入り口)
変数が増えると、AIは文章を成立させるために補完したくなります。
- ありそうな数字
- ありそうな事例
- ありそうな根拠
これは悪気じゃなく、「穴が多いから埋める」動きです。
でも、ここに嘘が混ざると信頼性が落ちていきます。
5、そもそもやり取りが長くなる(時間が溶ける)
感想 → 修正 → 感想 → 修正
を繰り返すと、AIのレスポンスは速いのに、やり取りの多さで疲れてきます。
そして最終的に、妥協しがちです。
これが一番もったいないですね
感想を言うのはOK。ただし「翻訳」してから渡す
ここが重要なところです。
感想を言ってはいけない、っていうわけではありません。
感想は入口として有効です。ただ、感想を指示の言葉に翻訳して渡す必要があります。
おすすめの翻訳はこの順番です。
感想(違和感)
→ どこが?(箇所)
→ 何が問題?(現象)
→ どうしたい?(完成形)
→ 具体的にどう直す?(操作:削除/追加/置換)
この形にすると、AIが推測しなくて済みます。つまり、変数が減って、意図通りになりやすいです。
よくある「感想」→ 最短で通じる「指示」言い換え集
| 感想(そのままだと弱い) | AIが困る理由 | 言い換え案 |
|---|---|---|
| なんか違う | 直す場所が不明 | 「冒頭〜3段落が弱い。結論を先に出して、誰向けかを1行で明示して」 |
| もっと良い感じに | 良いの定義が不明 | 「文章を短く。1文は40字以内。例を2つ追加。抽象語を減らして具体名を増やして」 |
| かっこよくして | かっこよさが人による | 「短文・言い切り多め。形容詞を削る。数字を1つ入れる。余計な前置きを削る」 |
| 丁寧にして | ただ長くなりがち | 「敬語は維持。結論→理由→具体例の順で説明を増やして丁寧に」 |
| 読みにくい | どこで詰まるか不明 | 「見出しを増やして、段落を3行以内に。表を2つ入れて要点を整理して」 |
| 薄い | 何を足すか不明 | 「背景と理由を追加。手順をSTEP化。チェックリストとテンプレ文も入れて」 |
| 硬い | どこを柔らかく? | 「語尾は丁寧のまま。専門用語を減らして、例え話を1つ入れて。会話調を少し足して」 |
この言い換えを覚えるだけで、やり取り回数が減ります。
最善な方法は、「例」を出す(主観を説明するより早い)
どれだけ主観で文章を書いても、期待された返答が返ってこない。
これは本当にそうで、主観の説明は、言葉が多い割に期待した返答が返ってきません。
一番早いのは例を出すことです。
良い例と悪い例など、これらを出すだけで、AIの推測が激減します。結果、返答の精度が上がります。
5W1Hを使うと、期待する返答が返ってきやすい
感想だけのプロンプトが弱い理由は「空欄が多い」ことでした。空欄を埋める最も強い型が、5W1Hです。
5W1H(最低限これだけ書けば精度が上がる)
| 要素 | 書くこと | 例 |
|---|---|---|
| Who(誰に) | 想定読者・属性・悩み | 「店舗オーナー」「BtoBのマーケ担当」 |
| What(何を) | 作りたいもの | 「ブログ本文」「LPのFV文」「SNS投稿」 |
| Where(どこで) | 媒体・掲載場所 | 「ブログ」「LP」「YouTube台本」 |
| When(いつ) | 期限・タイミング | 「今日中」「来週公開」 |
| Why(なぜ) | 目的・ゴール | 「問い合わせを増やす」「申込みを増やす」 |
| How(どうやって) | トーン・制約・NG | 「煽り禁止」「表を入れる」「リンクなし」 |
5W1Hの良いところは、AIが勝手に決めてしまいがちなところを、先に決めて渡せることです。
「もっと良い感じにして」「かっこよくして」を、5W1Hで書き直す例
ここでは、実例をご紹介します。
NG例(感想だけ)
「もっと良い感じにして」
「かっこよくして」
OK例(5W1Hで書く)
Who:30〜50代の店舗オーナー
What:ブログ記事の冒頭〜中盤を改稿
Where:ブログ(スマホで読む人が多い)
When:今日中に公開
Why:読了率と問い合わせを増やしたい
How:丁寧だけどテンポ良く。煽り禁止。1段落3行以内。表を1つ追加。
修正方針:
- 冒頭3行で結論→理由→読むメリット
- 抽象語(「良い」「すごい」)を削って具体(「何がどうなる」)に置換
- 例を2つ入れる(悪い例→良い例)
- 最後に「今日やること」1つ置く
これなら、AIは迷いません。
「かっこよさ」も、「良い感じ」も、具体的になっています。
コピペで使える:感想→指示に変える「指示に変えるテンプレート」
毎回ゼロから考えるとしんどいので、テンプレートを置いておきます。これ使うだけで、かなり安定します。
【テンプレート】
目的(Why):
対象(Who):
作るもの(What):
使う場所(Where):
期限(When):
トーン(How):丁寧/率直/おしゃべり寄り など
NG(How):煽り禁止、リンク禁止、数字の捏造禁止 など
よくある質問
「言語化が面倒。AIが察してくれたらいいのに」
気持ちは分かります。
ただ現実として、察してくれるAIは当たる日もあるし、はずれる日もあります。仕事で使うなら「再現性」が大事です。
また、AIは頻繁にアップデートがなされているので、それによって主観的表現だと昨日までの返答と今日の返答が異なる場合があります。
だから、言語化は最初だけ頑張って、あとはテンプレート化が一番楽です。
「言語化しても、まだ違うことがある」
あります。
その場合は「良い例」を出すのが最短です。良い例は、あなたの主観を説明するより早いです。
感想だけで終わらせない
感想や感情だけでAIとやり取りすると、期待した返答が返って来にくいです。それは 推測する変数が多くなるから。
だから、最短で進むために、やることは3つです。
- 感想を言ったら「何をどうしてほしいか」の一文を足す
- 5W1Hを意識する(推測を減らす)
- できれば「例」を出す(最短でズレを直る)
ここまでやると、生成AIは「当たり外れの大きいおもちゃ」ではなくて、使えば使うほど精度が上がる相棒になります。
