よくあるSEO失敗談:ひとつのワードに一喜一憂

つちや たけし
1,000社以上の店舗集客と会社集客をサポートしてきたWebマーケティングプランナー。複数のYouTubeチャンネル運営経験を持ち、複数のSNSやサイトを運営、実践的なマーケティング戦略の立案・実行を得意とする。「理論より実践」をモットーに、現場で使える具体的なノウハウを提供している。

「昨日まで5位だったのに、今日は8位に落ちました!どうしたらいいですか!?」

朝から連絡が入る。この社長さん、毎日10回以上は検索順位をチェックされています。1位上がるだけで血圧が上がる。これ、本当に体に悪いですよね。

「順位に一喜一憂しすぎて本業がおろそかになる」というのは、真面目で行動力のある経営者さんほど陥るケースがあります。特に一つのキーワードだけに執着すると、精神的に長続きしません。

今日は、なぜひとつのワードに一喜一憂するとダメなのか、どういう心構えでSEOと向き合うべきか、解説します。

目次

一喜一憂する社長

一つのワードで一喜一憂されるパターンをまとめてみます。

パターン1:毎日10回以上チェックする社長

たとえば、下のような感じです。

1日のルーティン

  • 朝6時:起きてすぐスマホで順位チェック
  • 9時:出社してPCで順位チェック
  • 12時:昼休みにスマホで順位チェック
  • 15時:休憩時間に順位チェック
  • 18時:退社前に順位チェック
  • 21時:帰宅後に順位チェック
  • 23時:寝る前に順位チェック

結果

  • 順位が1つ上がると大喜び
  • 順位が1つ下がると落ち込む
  • 朝から晩まで順位のことばかり考える
  • 本業の仕事に集中できない
  • スタッフにも「今日は何位だった!」と毎日報告

パターン2:順位が下がるとあわてる

行動:

  • 深夜1時にチャットが入る
  • 翌朝8時に「緊急ミーティングしたい」
  • 「Googleにペナルティを受けたんじゃないか」
  • 「サイトを全部作り直すべきか」

確認したら

  • ペナルティなし
  • よくある一時的な変動
  • 3日後には元に戻る

無駄に消費したもの

  • 精神的ストレス:計り知れない
  • 時間:2日間ほぼ順位のことだけ考える
  • スタッフの時間:緊急ミーティングで4時間拘束

パターン3:ひとつの順位だけ見て全体の順位を見ない

現実

  • 「梅田 美容室」:15位
  • でも他のキーワードは好調:
    • 「梅田 美容室 カット うまい」:3位
    • 「梅田 美容室 白髪染め」:2位
    • 「梅田 美容室 トリートメント」:4位
    • 「梅田駅 美容室 安い」:5位

実際の成果

  • 月間予約:30件
  • 順調に増加中
  • お客様の満足度も高い

なぜひとつのワードに一喜一憂してはいけないのか?

理由1:検索順位は毎日変動するのが普通

Googleのアルゴリズム

  • 1日に何度も微調整が入る
  • パーソナライズ検索で人によって順位が違う
  • 地域によっても順位が違う
  • デバイスによっても順位が違う

「絶対的な順位」なんて存在しないです。

実験してみてください

  1. あなたのスマホで検索
  2. PCで検索
  3. シークレットモードで検索
  4. 友達のスマホで検索

全部微妙に順位が違う場合があります。

理由2:ひとつのキーワードだけでは経営は成り立たない

仮に「大阪 税理士」で1位を取ったとして・・・

  • 月間検索数:数百回から数千回
  • クリック率:30%(1位の場合)
  • 流入数:300人
  • 成約率:1%(かなり高い設定)
  • 成約数:1件

これだけで会社が回りますか。

一方、複数キーワードの合計だと

  • 「大阪 相続税 税理士」:月1件
  • 「大阪 確定申告 税理士」:月1件
  • 「大阪 法人税 相談」:月1件
  • 「大阪 税理士 顧問料 安い」:月1件
  • …他50キーワード:月各1〜10件

合計:月1〜5件

複数ワードのほうが安定しますし、そうやってる会社のホームページほど、集客が上手くいっています。

理由3:精神的に持たない

順位に一喜一憂すると

  • 朝から晩まで検索順位のことを考える
  • 本業に集中できない
  • 睡眠の質が下がる
  • イライラして周りに当たる
  • 家族との時間も楽しめない

SEOのために健康を害したら、本末転倒です。

正しいSEOとの向き合い方

1. 複数キーワードで評価する

見るべき指標

 ❌ 「大阪 税理士」の順位だけ

⭕ 対策している全キーワードの平均順位

全体が上がっていればOK。

2. 順位より大切な指標を見る

本当に見るべき数字

  1. 月間オーガニック流入数
    • 順位が下がっても流入が増えることもある
    • これが一番大切
  2. 問い合わせ数・成約数
    • 順位10位でも成約が多ければ成功
    • 順位3位でも成約がなければ失敗
  3. 滞在時間・直帰率
    • 訪問者が満足しているかの指標
  4. コンバージョン率
    • どれだけ成果につながっているか

極端な例: 順位8位で月20件問い合わせ > 順位3位で月5件問い合わせ

3. チェック頻度を減らす

おすすめのチェック頻度

  • 経営者自身:月1回で十分
  • 担当者:週1回
  • 詳細分析:月1回

毎日チェックするのは

  • 時間の無駄
  • 精神的に悪い
  • 短期変動に振り回される

代わりにすべきこと

  • コンテンツの改善
  • お客様との対話
  • サービスの向上
  • スタッフの育成

4. 長期的な視点を持つ

SEOは長期戦

  • 効果が出るまで:4ヶ月〜1年
  • 安定するまで:1〜2年
  • 本格的に強くなるまで:2〜3年

1日単位の変動で一喜一憂するのは: マラソンを100m走のペースで考えるようなもの。

SEOは長期戦、全体戦

  • 全体を俯瞰して見る
  • 長期的な視点を持つ
  • 数字に振り回されない
  • 本業に集中する

SEOの順位は、あくまで「手段」であって「目的」じゃありません。本当の目的は「お客様に見つけてもらうこと」「問い合わせを増やすこと」「売上を上げること」です。

ひとつのキーワードで一喜一憂している時間があるなら、お客様と話す時間に使ってください。そっちの方が絶対に成果につながります。

SEOは大切です。でも、SEOのために人生を犠牲にする必要はありません。もっと気楽に、長期的な視点で取り組みましょう。

順位は上がったり下がったりするもの。それが普通です。全体が少しずつ良くなっていれば、それで十分。

深呼吸して、本業に集中してください。

つちや たけし
1,000社以上の店舗集客と会社集客をサポートしてきたWebマーケティングプランナー。複数のYouTubeチャンネル運営経験を持ち、複数のSNSやサイトを運営、実践的なマーケティング戦略の立案・実行を得意とする。「理論より実践」をモットーに、現場で使える具体的なノウハウを提供している。
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