
「ホームページ作ったんですが、全然アクセスが増えないです。」
そう言われてサイトを確認すると、全ページのタイトルが「株式会社◯◯」だけ。これは、誰が悪いという話ではありませんが、よく起こる失敗パターンの一つです。
これまで1,000社以上をサポートしてきた中で、この「全ページが会社名だけ」は、昔からよく見かけました。最近はさすがに減ってきましたが、それでも時々遭遇します。
今日は、なぜこの問題が起こるのか、どうすれば防げるのか、お話しします。
なぜ「会社名だけ」のタイトルになってしまうのか?
ここでは、会社名だけになってしまう理由についてまとめてみます。
理由1:SEOの優先度が共有されていない
よくあるケース
- クライアント:「とりあえずホームページを作りたい」
- 制作会社:「デザインと機能を重視して納品」
- 結果:SEO対策は後回しに
予算や納期の都合で「まずは見た目を整えて公開」という判断も、経営判断としては間違ってないことがあります。
理由2:CMSによって全ページタイトル同じ
WordPressなどのCMS: 初期設定では「サイト名」がすべてのページのタイトルになる設定が多いです。普通は、詳細ページは、各ページのタイトルが記載されるのですが、制作過程でそれが効いていない状態になってしまうケースがあります。
理由3:予算の制約
実際によくある会話: 制作会社:「SEO設定も含めると追加で20万円かかります」 クライアント:「予算オーバーなので、追加なしで、とりあえず基本だけで」
これも経営判断です。限られた予算の中で優先順位をつけることもあります。そのままSEOチェックしないで納品。
理由4:知識や意識のすれ違い
制作会社側: 「タイトル設定は基本だから、当然クライアントも知ってるだろう」
クライアント側: 「プロに頼んでるんだから、当然全部やってくれるだろう」
お互いの「当然」が違う場合があります。
なぜ「会社名だけ」がダメなのか?
1. Googleが内容を理解しない(できない)
検索エンジンは、タイトルを見て「このページは何について書かれているか」を判断します。
全ページ「株式会社◯◯」だけだと、
- 会社概要なのか
- サービス紹介なのか
- 採用情報なのか
理解しない場合があります(できない場合があります)。
2. 検索結果でクリックされない
検索結果に表示されても、タイトルが「株式会社◯◯」だけだと、
- 何の会社か分からない
- どんなサービスか分からない
- クリックする理由がない
悪い例:
株式会社大阪製作所
株式会社大阪製作所
株式会社大阪製作所
良い例:
精密金属加工|株式会社大阪製作所
会社概要|株式会社大阪製作所
採用情報|株式会社大阪製作所
3. SEO評価が曖昧になる
各ページが異なる内容なのに、タイトルが同じだと、検索エンジンが各ページの役割を理解できません。
この問題を防ぐには?(発注側・受注側双方の視点)
クライアント(発注側)がすべきこと
1. 納品時にチェックする項目を決める
- 各ページのタイトルタグが設定されているか
- h1タグが各ページでユニークか
- meta descriptionは設定されているか
2. わからないことは遠慮なく聞く 「タイトルタグって何ですか?」 これ、恥ずかしい質問じゃありません。むしろ聞くべき質問です。
3. 予算にSEO基本設定を含める 最初から「SEO基本設定込み」で見積もりを取る。後から追加より安く済むことが多いです。
制作会社(受注側)がすべきこと
1. 事前に説明する 「タイトルタグの設定は追加費用で◯万円かかります」 「基本プランには含まれていませんが、SEO効果には重要です」
明確に伝えることで、クライアントが判断できます。
2. 最低限の設定は標準で 追加費用をもらえなくても、各ページのタイトルに「ページ名|会社名」くらいは標準で設定しておく。これだけでも大きく変わります。
3. 納品後のサポート体制 「公開後に気づいたら、追加で対応します」という姿勢を示す。
双方が協力すべきこと
1. 期待値のすり合わせ
- どこまでが基本料金に含まれるか
- SEOのレベルをどこまで求めるか
- 納品後の運用サポートはどうするか
2. チェックリストの共有 納品時にお互いが確認すべき項目を事前に共有。
3. 段階的な対応
- 第1段階:最低限の設定で公開
- 第2段階:運用しながらSEO強化
- 第3段階:本格的なSEO
予算に応じて段階的に進めるのも一つの方法です。
今すぐできる!タイトルの確認方法
1. ブラウザで確認
各ページのタブに表示される文字を見る。全部同じなら要注意。
2. Google Search Consoleで確認
「エクスペリエンス」→「ページ」→「重複するタイトルタグ」をチェック。
3. 検索結果で確認
「site:あなたのドメイン」で検索。表示されるタイトルが全部同じなら問題あり。
正しいタイトルの付け方
基本ルール
1. 各ページの内容を具体的に表現する
- トップページ:事業内容や強みを表現
- サービスページ:具体的なサービス名
- 会社概要:「会社概要」と明記
- 採用情報:「採用情報」「求人」と明記
2. 重要なキーワードを前に置く
悪い例:「株式会社◯◯|大阪の税理士」
良い例:「大阪の相続税専門税理士|株式会社◯◯」
3. 20文字前後を目安に 長すぎると検索結果で切れます。
同じタイトルなら、今すぐ改善しよう
タイトルタグの設定は、SEOの中で最も基本的で、最も重要な要素の一つです。でも、この基本が抜け落ちることは、よくあります。
大切なのは、「どう改善するか」を考えること。
もしあなたのサイトが「会社名だけ」のタイトルになっていたら、今から直しましょう。それだけで、アクセス数が大きく変わります。
制作会社に依頼した方は、遠慮なく相談してみてください。良心的な制作会社なら、一緒に改善策を考えてくれます。自社で運用している方は、今日から少しずつ修正していきましょう。
タイトルを変えるだけで、結果が変わります。