
なぜ多くの中小企業の売上アップ施策は失敗するのか
売上が安定的に伸びている企業には共通点があります。それは「新規開拓よりも既存顧客の深耕に重点を置いている」ことです。
多くの経営者が「売上を上げる=新規顧客を獲得する」と考えがちですが、これはちょっと違います。
一般的に、新規を獲得するには、常連客にリピートしてもらうよりも、5倍のコストがかかると言われています。
この記事では、実際に効果があった方法を、優先順位とともに具体的な方法をお伝えします。
効果的な売上アップ戦略【優先順位付き】
コスパのよい順番で戦略をご紹介します。
【最優先】1.既存顧客の離脱防止
まず「出血を止める」ことから始めましょう。どんなに新規顧客を獲得しても、既存顧客が離れていては意味がありません。
離脱の早期発見
以下のサインを見逃さないようにしましょう。
- 利用頻度の減少
- 問い合わせ内容の変化(クレーム増加、消極的な反応)
- 支払い遅延の発生
- 担当者の変更通知
すぐにアクション
サインを発見したら、すぐに下のアクションを取ります。
- 電話での直接連絡(メールではなく電話)
- 不満・課題のヒアリング
- 具体的な改善提案の提示
- フォローアップ計画の作成と実行
2.アップセル・クロスセルの体系化
アップセルやクロスセルは、非常に効果が高いです。新規開拓よりも6割以上、受注率が上がるイメージです。
アップセル
タイミングが重要です。
- 契約更新時期の2ヶ月前
- 利用量が80%に達した時点
- 成果が出て満足度が高い時期
クロスセル
関連商品を体系的にマッピングし、以下の観点で提案します。
- 既存サービスの補完商品
- 業務効率化にアップさせる商品
- 季節性・タイミングを考慮した商品
失敗しないポイント
押し売りは厳禁で、顧客の成功が大前提。「今のサービスで十分満足している」状態を作ってから次の提案に移りましょう。
3.リピート率・利用頻度の向上
継続利用を促進し、LTV(顧客生涯価値)を最大化します。
ロイヤルティ施策
- VIP会員制度の導入
- 継続利用特典の提供
- 限定サービスの提供
- 優先サポートの実施
利用促進施策
- 定期利用リマインドの送信
- 使い方レクチャーの実施
- 新機能の案内
- 活用事例の共有
関係強化施策
- 定期的な満足度調査
- 担当者との定期面談
- 業界情報の提供
- イベント・セミナーへの招待
4.紹介・口コミによって新規を獲得する
現在の顧客に紹介してもらうので、確度の高い新規開拓となります。成約率は通常の3-5倍になります。ビジネスによっては、8割以上成約します。
紹介しやすい環境を整備します。
- 紹介用資料の提供
- 紹介専用ページの作成
- 紹介方法の簡素化
- 紹介後のフォロー体制
実装のコツ
紹介を「お願い」するのではなく、「自然に紹介したくなる状況」を作ることが重要です。
- 圧倒的な成果を出してから紹介を依頼
- 業界の課題解決事例を積極的に発信
- 「○○の専門家」としてのポジション確立
5.価格・プラン最適化
既存顧客の支払い意欲に合わせた価格戦略で収益性を向上させます。
プラン最適化
- サブスクプラン
- 年間契約による割引
- 設備投資やスキルアップによってクオリティを上げる
- 量産化による値下げ
- プレミアプランの創設
顧客との関係性をどう上げるか
新規開拓に必死になって既存顧客を失う企業と、既存顧客を大切にして安定成長する企業。その差は「顧客との関係性の質」にあります。
新規開拓が成功する企業の共通点
- 既存顧客の成功を自社の成功と位置づけている
- 顧客との関係を「取引」ではなく「パートナーシップ」と捉えている
- 短期的な売上より長期的な関係性を重視している
- 顧客の課題解決に本気で取り組んでいる
- データに基づいた意思決定を行っている
あなたの会社にも必ず当てはまる戦略があります。
新規開拓の前に、まずは既存顧客を大切にすることからはじめましょう。