
あなたのLP、せっかく作ったのに誰も見に来ていない。そんな悲劇、起こっていませんか?
実はLP制作における失敗パターンの一つが「広告を使わない」という判断です。多くの企業やフリーランスを苦しめる典型的な失敗例になっています。
今日は、1,000社以上サポートしてきた経験から、このLPと広告の関係について、率直にお話しします。実際の現場で何度も見てきた失敗事例と、その回避方法を詳しく解説していきます。
なぜ「広告なしLP」は失敗するのか?
ここでは、広告なしでLP運用を行なった場合、なぜ失敗しやすいのか?について解説いたします。
LPは「広告ありき」で設計されている
そもそもLPは何のために生まれたか。
LPは広告からの流入を前提に、コンバージョンに特化したページとして開発されてきた歴史があります。つまり、広告なしでLP運用するのは、エンジンのない車を買うようなものなのです。
LPを専門に運用する会社でも「LPだけでは集客できない」と断言されています。
LPの構造を考えてみてください。通常、LPは1ページで完結する縦長のページです。ナビゲーションメニューもなく、他のページへのリンクも最小限に抑えられています。なぜなら、ユーザーの注意を散らさず、一つのコンバージョン(購入、申し込み、問い合わせなど)に集中させるためです。
この構造は、広告から明確な目的を持って訪れたユーザーには非常に効果的です。
しかし、SEOの観点から見ると致命的な弱点になります。内部リンクが少なく、コンテンツの階層構造もないため、検索エンジンのクローラーが評価しにくいのです。もちろん被リンクも集まりにくいです。
つまり、LPは生まれながらにして「広告で集客する」ことを前提に設計されているわけです。
LP制作費が高額になると、コスパ最悪の事態に
LPの制作費用の相場は、10万円から100万円以上と幅広いのが現実です。相場を見ても分かる通り、しっかりしたLPを作ろうと思ったら、真ん中をとって、30万円から60万円はかかるケースが多いです。
ましてや、デザインにこだわったり、コピーライティングをプロに依頼したり、システム的な機能を追加したりすると、あっという間に50万円、100万円という金額になっていきます。
ここで深刻な問題が発生します。制作費に予算をかけすぎて、広告費がなくなるというパターンです。
これは本当によくある話で、私も何度も相談を受けてきました。制作会社に40万円払って立派なLPを作ったものの、肝心の集客予算が残っていない。公開してみたら誰もアクセスしてこない。結果として、高額な制作費をかけたLPが、インターネットの片隅でひっそりと存在するだけという悲しい状況になってしまうのです。
この状態になると、せっかく投資した40万円が完全に無駄になります。LPというのは、ユーザーが訪問して初めて価値が生まれるものです。どんなに美しいデザインでも、どんなに優れたコピーでも、誰も見なければ何の意味もありません。これは本当に悔しい状況です。
LPへの3つの流入経路を徹底比較
万が一、広告を使わないなら、代わりの流入経路を確保する必要があります。ここで流入経路を整理しておきましょう。
主な選択肢は広告経由、SEO・コンテンツ経由、SNS経由の3つです。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
1. 広告経由(最も効果的)
広告経由は、LP集客において最も効果的な方法です。その最大の理由は即効性の高さです。広告配信を開始すれば、数時間後にはユーザーがLPに訪問し始めます。早ければその日のうちに最初のコンバージョンが発生することもあります。
さらに重要なのは、コンバージョン率の高さです。広告経由のユーザーは、すでに何らかの興味や購買意欲を持って検索している状態です。特にリスティング広告の場合、ユーザーは自分の悩みや欲求に関連するキーワードで検索し、その結果として広告をクリックしています。つまり、非常に質の高い見込み客なのです。
主なメリット
- 即効性抜群:広告配信開始から数時間で流入が始まる
- コンバージョン率が高い:購買意欲の高いユーザーにピンポイントで届く
- 予測可能:予算に応じて集客数をコントロールできる
- ターゲティング精度:年齢・性別・興味関心で絞り込める
- 広告予算が安い:月5万からでも集客できる
デメリット
- 継続的な費用がかかる(20〜30万円が相場)
- 広告運用スキルが必要
向いている人
- 短期間で成果を出したい
- 予算がある程度確保できている
- テストと改善を繰り返しながら最適化したい
予測可能性も大きなメリットです。
広告では予算に応じて集客数をある程度コントロールできます。「今月は予算が多いから広告費を増やそう」「来月は抑えめにしよう」といった調整が可能です。また、運用データが蓄積されていけば、「予算30万円なら約500件のクリック、20件のコンバージョンが見込める」といった予測も立てやすくなります。
ターゲティングの精度も見逃せません。現代の広告プラットフォームでは、年齢、性別、地域、興味関心、さらには過去の行動履歴まで考慮してターゲティングできます。これにより、本当に商品やサービスを必要としている人にピンポイントでリーチできるのです。
2. SEO・コンテンツ経由
SEO・コンテンツ経由は、一見魅力的に見えます。長期的には費用対効果が高く、継続的な広告費が不要で、信頼性や権威性の構築にもつながります。「広告費をかけずに集客できる」という響きは確かに魅力的です。
しかし、現実はそう甘くありません。最大の問題は、コンバージョン率が大幅に下がることです。広告経由と比較すると、3分の1から10分の1程度になることも珍しくありません。なぜなら、SEO経由で訪れるユーザーは、広告経由のユーザーほど明確な購買意欲を持っていないからです。
主なメリット
- 長期的には費用対効果が高い
- 継続的な広告費が不要
- 信頼性・権威性の構築につながる
デメリット
- コンバージョン率が大幅に下がる(広告の1/3〜1/5)
- 成果が出るまで3〜6ヶ月以上かかる
- LPはSEOに弱い(内部リンクが少なく、1ページ構成のため)
- コンテンツを作り、LPへの誘導が必要となり手間がかかる
- コンテンツ制作に時間と労力がかかる
向いている人
- 自分でコンテンツを作れる
- 自分でLPが作成できる
- 長期的な視点で取り組める
- 予算がかなり限られている
情報収集段階のユーザーも多く含まれます。「とりあえず調べてみただけ」というユーザーも多いのです。こうしたユーザーは、すぐにコンバージョンには至りません。じっくり検討してから、数日後、数週間後に改めて訪問してコンバージョンすることもありますが、その間に他社のサイトに流れてしまう可能性も高いのです。
成果が出るまでの時間も問題です。SEOで上位表示されるまでには、最低でも3ヶ月から6ヶ月はかかります。競合が強いキーワードであれば、1年以上かかることもあります。またキーワードによっては、大企業やSEOに力を注いでいる企業が占拠しているので、何年かかっても1位を取れないことも多いです。
その間、アクセスがぜんぜん少ないままのこともあります。つまり、その期間中は売上も見込めないということです。
さらに深刻なのは、LPはそもそもSEOに弱いという構造的な問題です。「流入経路がSEOのみ」はLP失敗の典型パターンなのです。
3. SNS経由
SNS経由は無料で始められ、拡散力があり、ファンとの関係構築ができるという魅力があります。特にInstagramやX(旧Twitter)、TikTokなどで影響力を持っている人にとっては、有効な集客方法になり得ます。
しかし、SNS経由の最大の問題は、コンバージョン率が最も低いことです。SNSでさえCVRは0.5%から1.5%程度です。SNSのユーザーは、基本的にエンターテイメントや情報収集を目的にしており、購買モードではありません。
主なメリット
- 無料で始められる
- 拡散力がある
- ファンとの関係構築ができる
デメリット
- コンバージョン率が低い(CVR 0.5%〜1.5%)
- 継続的な発信が必須
- フォロワー獲得に時間がかかる
- アルゴリズム変更のリスク
向いている人
- すでにSNSで一定のフォロワーがいる
- コミュニケーションが得意
- エンゲージメント重視のビジネス
継続的な発信も必須です。毎日、あるいは週に何度も投稿し続けなければ、フォロワーの記憶から消えてしまいます。しかも、プラットフォームのアルゴリズムは頻繁に変わるため、昨日まで効果的だった手法が今日は通用しなくなるということも起こります。
コンバージョン率の現実を数字で見る
ここで、流入経路別のコンバージョン率の違いを具体的な数字で見てみましょう。一般的な数字を並べていきます。
流入経路別のコンバージョン率比較
流入経路 | 平均CVR | 特徴 |
---|---|---|
リスティング広告 | 1%〜5% | 購買意欲が高いユーザー |
ディスプレイ広告 | 1%〜3% | 認知拡大向け |
SEO(オーガニック) | 0.1%〜3% | キーワードによって変動大 |
SNS | 0.1%〜3% | 潜在層へのアプローチ |
広告を使わないと、やり方によっては、コンバージョン率が大幅に下がります。
具体的な数字でシミュレーションしてみる
では、月間30件のコンバージョンを獲得したいという目標があるとして、各流入経路でどのくらいのアクセス数と費用が必要か計算してみましょう。
ケース1:リスティング広告(CVR 4%)
- 必要アクセス数:750人
- クリック単価150円の場合:広告費 112,500円
- 実現可能性:◎(すぐに達成可能)
リスティング広告なら、配信開始から数日で目標達成できる可能性が高く、実現可能性は非常に高いです。もちろん予定するコンバージョン数に必ず達するとは限りませんが、それは他の施策も同じです。
ケース2:SEO(CVR 0.5%)
- 必要アクセス数:2,000人
- コンテンツ制作費:月10〜30万円(外注の場合)
- 実現可能性:△(3〜6ヶ月後、かつ不確実)
これだけのアクセスを獲得するには、複数のキーワードで上位表示される必要があります。しかも、成果が出るまでに3ヶ月から6ヶ月かかり、その間の費用も考慮する必要があります。
また6ヶ月で必ず成果が上がるとは限らず、その後も試行錯誤をおこなわなければなりません。
ケース3:SNS(CVR 1%)
- 必要アクセス数:3,750人
- SNS運用コスト:時間的コスト大
- 実現可能性:△(フォロワーに依存、不確実)
これだけのトラフィックをSNSから獲得するには、相当なフォロワー数とエンゲージメント率が必要です。時間的コストも膨大で、実現可能性はフォロワー数に大きく依存します。
この数字を見れば、なぜプロが広告を推奨するのかが明確に分かるはずです。LPで短期間で確実に成果を出す(結果を出す)には、広告が最も効率的なのです。
正しい予算配分が成功の鍵
LP運用で成功するには、正しい予算配分が極めて重要です。多くの失敗事例を見てきましたが、その大半は予算配分の誤りから生まれています。
予算配分のプロアドバイスによると、理想的な配分は以下の通りです。
総予算100万円の場合の理想的な配分
- LP制作費:30〜40万円(30〜40%)
- 広告費(初期3〜6ヶ月分):40〜50万円(40〜50%)
- 改善・運用費:10〜20万円(10〜20%)
多くの失敗事例では制作費85%、広告費10%、運用費5%といったようなバランスになってることが多いです。これが致命的なのです。制作に予算を使い果たし、肝心の集客と改善に回す予算がない状態になってしまうのです。
「制作費にお金をかけすぎて広告費が足りない」は典型的な失敗パターンです。美しいLPを作ることに満足してしまい、その後の運用を軽視してしまっています。
予算が限られている場合の賢い戦略
では、予算が限られている場合はどうすればいいのでしょうか。ここで現実的な3つの選択肢を提案します。
選択肢A:制作費を抑えて広告に回す(最もおすすめ)
- LP制作:10〜15万円(テンプレート活用)
- 広告費:月20〜30万円(3ヶ月分で60〜90万円)
- 特徴:最も成果が出やすい方法
確かに、テンプレートを使ったLPは、オリジナルデザインのLPほど洗練されていないかもしれません。しかし、重要なのは見た目の美しさではなく、コンバージョンが取れるかどうかです。シンプルでもユーザーの課題を解決し、適切なタイミングでCTAを配置すれば、十分にコンバージョンは獲得できます。
選択肢B:自作LP + 広告
- LP制作:0円(自分で作る、人件費のみ)
- 広告費:月30〜50万円
- 特徴:制作スキルがある人向け
最近では、WordPressのテーマやノーコードツールを使えば、専門的な知識がなくてもそれなりのLPが作れるようになっています。デザインセンスに自信がなくても、既存の優れたLPを参考にすれば、十分に機能するページが作れます。
選択肢C:LP + コンテンツSEO(長期戦)
- LP制作:10〜20万円(シンプル設計)
- コンテンツ制作:自分で継続的に作成
- 特徴:時間と労力を投資できる人向け
この戦略を選ぶなら、覚悟が必要です。最低でも6ヶ月から1年は成果が出ないことを前提に、コツコツとコンテンツを作り続ける必要があります。しかし、一度軌道に乗れば、継続的な集客が見込めます。
ノウハウがあるならおすすめできる手法です。
「広告を使わない」が成功する例外的なケース
ここまで「広告を使うべき」という話をしてきましたが、もちろん例外もあります。以下の条件が揃っている場合は、広告なしでも成功する可能性があります。
成功する可能性がある条件
すでに強力な集客基盤がある
メルマガリストが5,000件以上ある(開封率も高い)
SNSフォロワーが1万人以上いる(エンゲージメント率も高い)
既存サイトで月1万PV以上ある(CVニーズに近いワードで検索されて流入がある)
自分でLPが制作できる
制作費ゼロで何度も改善できる
自社でサイト運用できる
長期視点で取り組める
6ヶ月〜1年かけてじっくり育てる覚悟がある
短期的な売上プレッシャーがない
コンテンツ制作が得意
継続的に質の高いコンテンツを作れる
SEO知識がある
すでに強力な集客基盤がある場合、新しいLPを作ってその基盤に向けて告知すれば、一定のコンバージョンは見込めます。ただし、この場合でも広告を組み合わせれば、さらに大きな成果が得られることは間違いありません。既存の集客基盤だけでは、成長の限界がすぐに来てしまうからです。
自分でLP制作できる場合は、制作費がゼロで、何度も改善できます。この場合、失敗してもダメージが小さいため、色々な施策を試すことができます。10個LPを作って、1個当たればいいという考え方もできます。
ちなみに弊社ではこの自分で全部やる手法をおすすめする場合もあります。
失敗を避けるために今すぐチェックすべきこと
LP制作に入る前に、必ず以下のポイントを確認してください。これらを確認せずに進めると、高確率で失敗します。
5つの必須チェックポイント
1. 流入方法は決まっているか?
「とりあえずLPを作ってから考える」は絶対にNGです。
LP制作を始める前に、先に流入戦略を明確にする必要があります。広告を使うのか、SEOで集客するのか、SNSから誘導するのか、それとも既存顧客リストに告知するのか。これを決めてから制作に入るべきです。
2. 広告予算は確保しているか?
理想的には、LP制作費の2倍から3倍の広告予算があるか確認しましょう。もしないなら、制作費を下げるべきです。50万円のLP制作予算があるなら、100万円から150万円の広告予算が必要です。この比率が逆転していたら、計画を見直す必要があります。
3. 運用・改善予算はあるか?
LPは作って終わりではありません。公開後、データを見ながら継続的に改善していく必要があります。ABテストを実施したり、コピーを修正したり、デザインを調整したりします。これには月5万円から20万円程度の予算が必要です。
4. 目標CVは現実的か?
流入経路のCVRを考慮した上で、現実的な目標設定をしているか確認しましょう。
「月100件のコンバージョン」という目標を立てたなら、それを達成するために必要なアクセス数と広告費を逆算してください。その数字が現実的でなければ、目標を修正するか、予算を増やすかの判断が必要です。
5. 最低6ヶ月分の予算があるか?
広告は継続が重要です。1ヶ月や2ヶ月で止めてしまったら、それまでの投資が無駄になります。データが蓄積されて最適化が進み、成果が出始めるのは3ヶ月目以降です。最低でも6ヶ月は継続できる予算を確保してから始めるべきです。
LP成功のための現実的なアプローチ
ここまで読んでいただいたあなたに、最後に本音をお伝えします。
「広告を使わないLP」は、先程の特別な条件が揃わない限り失敗します。これが1,000社サポートしてきた弊社の考えです。
美しいLPを作ることは確かに重要です。しかし、それ以上に重要なのは、そのLPにユーザーを連れてくることです。どんなに優れたLPでも、誰も見なければ価値もありません。
あなたが今日から実践すべきこと
- LPは広告とセットで機能するもの
- 制作費<広告費にする
- 広告予算がないなら、制作費を下げて広告に回す
広告を使わずにLP運用して「アクセスがない」と嘆くより、最初から正しい戦略で進めましょう。