
「AIはライターの仕事を奪う」なんて言われ始めて、もうずいぶん経ちます。
けれど、実際の現場ではどうなのか?本当に文章が丸投げできるほど使えるのか?
今回のインタビューでは、10年以上のキャリアを持つ現役女性ライター・コマツマヨさんに、AI(特にChatGPT)をどんなふうに使っているのか、そしてどんなところにストレスを感じているのか、リアルな本音を語ってもらいました。
AIとの「ちょうどいい距離感」についても、等身大で話してくれました。
「AIを使うってどういうこと?」
「ライターにとって、AIは敵?味方?」
そんな疑問を持っている方にこそ読んでほしい内容です。
AIとの付き合い方と使いこなし
つちや:AIって、ライターとしてどういうふうに使ってはるんですか?
コマツ:構成を考えてもらったり、叩き台にしてもらったりしてますね。
つちや:じゃあ、それをそのまま使うんですか?
コマツ:いや、3000文字の記事を書いてってお願いしても、だいたい1200〜1500文字しか出してくれないから、そこから自分で肉付けしたり、整えたりします。
つちや:なるほど。AIだけじゃ完結しないんですね。
コマツ:そうですね。私は自分の言いたいことをバーッと入れて、それを「どこに入れるのが一番いいか」をAIに整理してもらう感じです。
構成・整理のアシスタントとして
コマツ:最近多いのが、工務店さんのインタビュー記事。だいたい構成が決まってるんですよ。「なんでこの会社に決めたんですか」とか「家づくりのこだわり3つ」とか。
つちや:構成が決まってるなら、その型に当てはめる感じ?
コマツ:そうそう。私は取材して楽しく雑談して話が脱線するから、それを整理するのに時間がかかるんです。だからAIに「この話はここに入れて」「これとこれをまとめて」ってお願いしてます。
AIにイライラ!?
コマツ:でも、使えないAIも多い!指示しても「理解しました」って言いながら、全然できてへんし。もう「何を理解したん!?」ってキレてます(笑)
つちや:キレてる(笑)
コマツ:でも使いこなせば、作業時間は確実に短くなってますよ。
見出しや表現に悩んだ時に
コマツ:40過ぎてから、言いたいことが出てこない時が増えてきて…。
つちや:単語が出てこない?
コマツ:そうそう!「赤っぽいものが描きたい」って気持ちはあるけど、どの赤かが出てこない。AIに見出し10個出してもらったりすると「これこれ!」ってなるから、それをベースに自分で整えていきます。
AIを使いこなすには“力”がいる
コマツ:AIを使いこなすには、ある程度の知識とか国語力がいると思ってて。
つちや:知能指数が高くないと使いこなせない?
コマツ:いや、感覚派でもいいんです。ただ、AIの出力が「正しいかどうか」を判断できる力がいる。ライティングで使うなら、文法の整合性とかね。
AIの限界とライターの役割
つちや:ライターがAIを使うのはずるいって言う人もいますよね。
コマツ:いますね。でも、AIが出すものって、正直チープなんですよ。最終的にどう表現するか、どの言葉を使うかって判断は、結局ライターの国語力とか、感覚にかかってる。ライティング力がないとAIは使いこなせないって、ほんまそう思います。
タイトル・見出しの作成とAI
つちや:タイトルとかキャッチコピーもAIに頼むんですか?
コマツ:頼みます。でも、AIが出してくるタイトルをそのまま使うことはまずない。どっかで聞いたことあるな~っていうのばっかりで。なので、出てきた言葉の中からパーツだけもらって、最終的には自分で組み立てます。
AIはディレクター?
つちや:それってもうAIがディレクターみたいですね。
コマツ:ほんまそれ(笑)。AIが出してくれた構成に、自分が文章を肉付けしていくっていう形。結局、ディレクションをやる立場になってる気がします。
誤字脱字チェックにもAI
つちや:文章の構成以外にAI使ってることあります?
女性:誤字脱字のチェックにも使ってます。私、誤字脱字がめちゃくちゃ多いんですよ。でも、AIに構成させても間違ってること多くて(笑)。最終的には人間の目で確認してます。
メール文にも「私らしさ」を
つちや:メールの返信文にAI使ったりは?
コマツ:それは一生使わない(笑)。私は必ず1文、「私らしい表現」を入れるようにしてます。「お困りのことがあれば〜」じゃなくて、「何かあれば、また私の方で対応しますね」とか、ちょっと会話っぽく。
つちや:たしかに、あったかい感じしますね。
コマツ:たぶん私、インタビュアーとしての視点が強いんですよ。「この人がどう見えるか」を常に考えて書いてる。だから、喋るように文章を書いてます。
求人インタビューの効果
つちや:求人目的のインタビューって、実際効果あるんですか?
コマツ:効果はあると思います。けど、それを数値で出してくれる会社さんって少ないんですよ。あくまで「載せて終わり」みたいな感じ。でも、実際に「それを見て応募が来た」って話もあるし、効果はあるはずです。
まとめ
AIが急速に進化し、ライターの仕事にも大きな影響を与える時代。
そんな中で彼女のやり方は、構成を任せる、言葉を探してもらう、見出しの案を出してもらう。
だけど、仕上げるのは自分の手。
その中には「この人らしさを伝えたい」「読者に届いてほしい」という強い思いが込められていました。
AIの力を借りながらも、「人間にしかできない表現」にこだわり続ける姿勢。
それは、情報をただ伝えるのではなく、「伝わる」文章を届けるという、プロの矜持そのものでした。
ライターの仕事は、なくならない。
むしろ、「人間らしさ」が問われる時代だからこそ、
自分の言葉で誰かの想いを届けられるライターは、これからもっと必要とされていくはずです。
コマツマヨさんのサイト:ライターコマツマヨのサイト