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やってはいけない集客方法、高級店なのに安売りで売上を稼ごうとする

つちや たけし
1,000社以上の店舗集客と会社集客をサポートしてきたWebマーケティングプランナー。複数のYouTubeチャンネル運営経験を持ち、複数のSNSやサイトを運営、実践的なマーケティング戦略の立案・実行を得意とする。「理論より実践」をモットーに、現場で使える具体的なノウハウを提供している。

「今月は少し予約が少ないな…売上が落ちてきた」
「クーポンサイトに掲載して集客しよう」
「半額セールをやれば、一気に来客数が増えるはずだ!」

高級レストランやプレミアムサロンのオーナーが焦りからこんな決断をしてしまうシーンは、決して珍しくありません。

確かに、大幅な割引をすれば一時的にお店は満席になるでしょう。

しかし、その後に待っているのは恐怖の結末です。

やって来るのは「クーポンが使えるから来ただけ」の値段目当ての客ばかり。

一方で、今までお店を愛してくれていた常連客は、騒がしくなった店内の雰囲気や変わってしまった客層を見て、静かに、そして二度と戻らない形で離れていきます。

「一度下げた価格イメージ(ブランド価値)は、そう簡単には元に戻らない」。

高級店が安売りに手を出すことは、自らの首を真綿で絞めるような、非常に危険な集客方法です。

安売り自体が常に悪なわけではない

誤解していただきたくないのは、「安売り・値引き」という手法自体が絶対的な悪というわけではありません。

量販店やファストフードチェーンのように、「低価格・手軽さ」を最大の価値(強み)としているビジネスモデルにおいては、クーポンやセールは非常に有効な戦略です。

しかし、あなたが経営しているのが「高価格・高品質・プレミアムな体験」を価値の核としているビジネスであるならば話は全く別です。

高級店が安売りをするということは、自分のビジネスモデルの根幹を自らハンマーで叩き壊す行為に等しいのです。「価格はブランドの背骨である」ということを、決して忘れてはいけません。

目次

なぜ高級店の安売りは致命傷になるのか

高級・プレミアム路線の店舗が安売りをしてはいけない理由。それは単に「利益が減るから」だけではなく、ビジネスの存続に関わる致命的なダメージを引き起こすからです。

1、価値を自分で壊すことになる

高級店の価格設定には、「この金額を払うだけの価値(素晴らしい料理、最高の技術、極上の空間)がありますよ」という自信と約束が込められています。

それを突然半額にした瞬間、お客様はこう思います。

「なんだ、本当は半額の価値しかなかったのか」。安売りは、自ら「うちの商品はその程度の価値です」と宣言するのと同じです。

2、既存客がブランドへの信頼を失う

高級店に通う優良顧客は、「値段が高いからこそ、質の高いサービスが受けられ、客層も良く、ゆったり過ごせる」ということに価値を感じてお金を払っています。

安売りによって店が混雑し、客層が変わってしまえば、彼らが求めていた価値は消滅し、静かにお店から離れていきます。

3、「低単価でリピートしない客」だけが集まるようになる

クーポンや半額セールで集まるお客様の多くは、「あなたのお店」に魅力を感じたのではなく、「安さ」に魅力を感じて来た人たちです。

彼らは定価に戻った瞬間、潮が引くようにいなくなります。そしてまた「別の安売りしている店」へと渡り歩くだけの、リピートしない一見客なのです。

4、スタッフのモチベーションとプライドが下がる

一流の技術やサービスを提供していると自負しているスタッフにとって、「半額で投げ売りされる自分たちのサービス」を見るのは辛いものです。

また、値引き客の対応に追われて疲弊し、「自分たちはただの安売り店の従業員だ」と感じさせてしまうことは、優秀な人材の流出に直結します。

5、 一度安くした後に価格を戻すと、客数は減る

「キャンペーンが終わったので元の値段に戻します」と言っても、安売り期間中に来たお客様の頭の中では「あの安い値段=この店の適正価格」としてインプットされています。

元の定価に戻しても客数は減ります。

高級店の安売りで起きる「負のスパイラル」

一度安売りの麻薬に手を出してしまうと、お店は以下のような段階的な崩壊プロセス(負のスパイラル)に陥ります。

フェーズお店で起きる現象結果・ダメージ
第1段階:導入売上への焦りから、クーポンサイトへの掲載や半額セールを実施。一時的に来客数は爆発的に増え、オーナーは「成功した!」と錯覚する。
第2段階:変質「安さ」目当ての新規客で店内が溢れかえる。スタッフは忙殺されサービスの質が落ちる。落ち着いた空間を求めていた「常連の優良顧客」が不満を感じ、静かに来店しなくなる。
第3段階:依存キャンペーン期間が終わり定価に戻すと、新規客は全くリピートせず、客数が激減する。常連客もすでに去っているため、売上が以前より悪化。「また安売りするしかない」と依存状態に。
第4段階:崩壊常に何らかの割引をしていないと客が来ない「安売り店」として定着してしまう。利益が出ないままスタッフは疲弊し、質の維持が不可能になり、最終的に廃業に追い込まれる。

よくある「やりがちな高級店の安売りパターン」

「うちは安売りなんてしていない」と思っていても、以下のような手法は実質的なブランド破壊に繋がります。

安売りのパターンなぜダメなのか(危険な理由)
グルーポン・クーポンサイトへの掲載特に飲食・エステ等で危険。クーポンサイトの利用者は「割引率」で検索するため、ブランドへの愛着はゼロ。二度と定価で来てくれません。
閑散期の半額セール・タイムセール「暇な時だけ安くする店」というレッテルを貼られます。定価で来てくれるお客様に対して「損をした」と思わせてしまう最悪の行為です。
「今だけ初回限定50%OFF」キャンペーン「初回はお試しだから」と大幅に割引すると、初回のハードルは下がりますが、「2回目(定価)のハードル」が異常に高くなり、結局リピートしません。
ポイントカードによる実質値引き「10回で1回無料」といったポイントカードは、高級店には不釣り合いです。財布にカードが増えることを嫌がる富裕層も多く、安っぽさを演出してしまいます。
SNSのフォロワー限定割引クーポン「フォローしてくれたら1,000円引き」という手法は、割引目当ての一時的なフォロワーを増やすだけで、質の高いファン形成には繋がりません。

【高級店が本当にやるべき】売上向上策

高級店が売上を上げるためには、「値段を下げる」のではなく「価値を上げる(高いものを売る)」方向へシフトしなければなりません。

  1. 単価アップ戦略
    安くするのではなく、より高い選択肢を用意します。上位コースの追加、プレミアムなオプション、料理とワインのペアリング提案など、「さらにお金を払ってでも良い体験をしたい」という層の要望に応えます。
  2. 既存優良顧客のリピート促進
    割引ではなく「特別感」で繋ぎ止めます。名前を覚える、好みを把握する、会員限定のクローズドな案内を送るなど、「私を特別扱いしてくれる」という優越感を提供します。
  3. 紹介戦略の強化
    「富裕層の友人は富裕層」です。既存の優良顧客に対して、大切な方を紹介していただく仕組みを作ります。割引クーポンをばらまくより、圧倒的に質の高い新規客を獲得できます。
  4. 体験価値の向上
    価格はそのままに、サービスの質を圧倒的に引き上げます。ウェルカムドリンクの提供、極上のタオルの使用、退店時の丁寧なお見送りなど、「この値段でも安い(割安だ)」と感じさせる工夫を凝らします。
  5. 希少性・限定性の活用
    「安くする」のではなく「手に入りにくくする」ことで欲求を高めます。「1日3組限定」「完全予約制」「〇月〇日までの期間限定食材」など、特別な価値を作ることで定価(あるいはそれ以上)で喜んで買ってもらえます。

まとめ

高級店・プレミアムブランドを経営するということは、「価格に見合う圧倒的な価値を提供する」というお客様との約束を守り続けることです。安易な安売りに逃げることは、その約束を自ら破り、ブランドの誇りを捨てることに他なりません。

一時的な売上の低下に焦る気持ちは痛いほど分かります。しかし、そこで「安さ」という麻薬に頼ってしまえば、待っているのは際限のない価格競争とブランドの死です。

高級店が生き残る道は、常に「どうすればもっと高くても喜んで買ってもらえるか(価値を上げられるか)」を考え抜くことしかありません。

あなたの提供するサービスには、定価で堂々と販売するだけの素晴らしい価値があるはずです。その自信とプライドを取り戻し、安売りとは無縁の「本物のプレミアム店」を目指しましょう。

【今日やるべき3つのアクション】

  1. 割引施策の棚卸しと停止: 現在行っているクーポンサイトの掲載、初回割引、ポイントカードなどの「値引き施策」をすべて書き出し、「本当にこれは必要か?ブランドを傷つけていないか?」を厳しく見直し、不要なものは直ちに停止する。
  2. 優良顧客への「えこひいき」を実施: いつも定価で通ってくれている大切な常連客(上位20%)をリストアップし、手書きのお礼状を送る、次回来店時に特別なサービス(価格を下げるのではなく価値を足す)をこっそり提供するなど、感謝を行動で示す。
  3. 「値上げ・単価アップ」のメニューを1つ作る: 安売りとは真逆のベクトルで、「既存のメニューよりさらに高品質・高価格な最上級プラン」を1つ企画し、今月中にメニュー表に追加する。
つちや たけし
1,000社以上の店舗集客と会社集客をサポートしてきたWebマーケティングプランナー。複数のYouTubeチャンネル運営経験を持ち、複数のSNSやサイトを運営、実践的なマーケティング戦略の立案・実行を得意とする。「理論より実践」をモットーに、現場で使える具体的なノウハウを提供している。
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