
労使トラブルの現場から始まった、社労士・飯田先生の「伴走型」支援への道
着物屋から企業金融へ、一見まったく異なるキャリアを歩みながらも、常に「人」と「組織」の在り方に向き合ってきた飯田先生。現在は社会保険労務士として、企業研修やセミナー講師を中心に活動し、多くの企業を支えられています。
転機となったのは、急成長する会社で目の当たりにした数々の労使トラブル。成果至上主義の裏で疲弊していく現場を見て、「これは個人の問題ではなく、仕組みの問題だ」と強く感じたことが、社労士を志すきっかけになったようです。
独立後は、がむしゃらに働き、あらゆる案件を引き受ける日々。経験を積む一方で、体を壊し半年間仕事ができなくなるという大きな挫折も経験します。その出来事が、「時間の切り売りではなく、専門性で価値を届ける」という現在のスタイルへと舵を切る分岐点になりました。
さらに意外なのは、もともと極度の“上がり症”だったということ。大学講師の依頼をきっかけに徹底的なトレーニングを積み、人前で話す壁を乗り越えたことが、講師業という新たな道を切り拓きました。そこからご縁が広がり、今では研修やセミナーを通じて組織の内側から変化を促す存在へと進化しています。
現在、単発の研修にとどまらない「伴走型」の支援。制度設計や人材育成に深く関わり、企業が長期的に安定する土台をつくることを見据えています。
そんな飯田先生に、これまでの歩み、転機となった出来事、そしてこれから描く未来についてじっくりお話を伺いました。
着物屋からノンバンクへ・・・労使トラブルが原点に

つちや:社労士になる前はどんなお仕事を?
飯田:新卒で入ったのが着物屋さんです。その後、企業金融(ノンバンク)に転職しました。
つちや:着物屋さんからノンバンクって、振れ幅すごいですね(笑)。そこではどんな感じだったんですか?
飯田:転職先は、社内のトラブルや労使トラブルがかなりある会社でした。会社自体は急成長していて業績は良かったんですけど、その代償として「成果を出せ」一辺倒で、社員同士の関係性があまり良くなくて。社内いじめで辞めさせられる人もいました。
つちや:うわっ、、、、それはしんどい環境ですねぇ。
飯田:当時は労働時間の管理も、会社がちゃんとやらなくてもおとがめなしみたいな時代だったんですよね。
そういうトラブルを見ているうちに、労働法とか人間関係に興味が湧いてきて。退職後に社会保険労務士という資格を知って、取って、そっちの仕事をやろうと思ったのがきっかけです。
がむしゃらな独立期と、半年間のダウン

つちや:今はもう、セミナー講師や企業研修がメインなんですか?
飯田:そうですね。ただ最初の10年くらいは、何でもやってました。企業向けの相談も個人向けも。経験を積むために、1〜2万円で仕事を受けちゃったり、安請け合いもしていました。
つちや:その時期って、体力勝負ですよね・・・。
飯田:そうなんです。独立して7年くらい経った頃に、体をおかしくしてしまって。時間を切り売りして夜な夜なやっていたらダウンして、半年くらい仕事ができない状態になりました。
つちや:それは相当ですね・・・。
飯田:なんとか回復はしたんですが、それを機に「このままのやり方は続かない」と思って。そこからは専門性を追求しつつ、「選択と集中」を考え始めました。単価もきちっといただける形をどう作るかを考えながら動いてきたのが、ここ10年くらいです。
つちや:なるほど・・・。そこから研修・セミナーの比重が上がっていったんですね。
飯田:はい。ご縁もあってご依頼をいただくことが増えて、研修やセミナーを起点に、企業の中でお手伝いする形で今に至っています。
極度の上がり症と講師業

つちや:講師業って、簡単にできるものじゃないと思うんですけど、何かきっかけがあったんですか?
飯田:元々は「絶対できない」と思ってました。極度の上がり症だったんです。
つちや:意外です笑 今の話し方から全然想像つかないです。
飯田:13年くらい前に、お世話になっている人事コンサルの会社から「大学の授業の講師」を頼まれて。話すのが苦手で、逃げ回ってたんですけど(笑)
つちや:逃げ回ってた(笑)。
飯田:知り合いの伝手で、「上がり症でも緊張せずに人前で話すトレーニング」をしている方に3ヶ月ついたんです。
フィジカル面と心理面の両方から整えていただいて、上がらずに話せる成功体験を積めました。
つちや:へー体から整えるって大事なんですね。
飯田:無事に大学講師をこなせて、「講師の仕事、できるかも」と思えるようになりました。
東洋哲学の発信がご縁を呼ぶ

つちや:そこから一気に仕事が増えたんですか?
飯田:いえ、すぐではなくて。自分が勉強していた東洋哲学の発信を続けていました。
事務所変更の手続きで東京商工会議所に行った時、たまたまセミナー企画担当の方と出会って。そこから依頼をいただき、2年連続で登壇しました。
つちや:偶然の出会いが仕事につながったんですね。
飯田:その後も紹介が続き、コロナ前から安定的に案件をいただけるようになりました。フェイスブックでは「東洋哲学といえば飯田先生」と言っていただけることもありました。
つちや:すごい!発信が信頼を積み重ねたんですね。
つちやの印象について

つちや:最後に、私の印象を率直にお願いします(笑)
飯田:レスポンスが丁寧で安心できました。「いつまでに確認します」と必ず伝えてくれるのがありがたかったです。それと、難しい話を分かりやすく噛み砕いて説明してくださる点も印象的でした。
つちや:ありがとうございます。では悪い点も…。
飯田:関西の方に共通していると思うんですが、話すスピードが少し早いと感じる時がありました。挟むタイミングが難しいことがあって。
つちや:そこは直していきます(笑)。
これから目指す“伴走型”支援
つちや:今後やっていきたいことって、ありますか?
飯田:単発の研修だけでなく、半年〜1年単位で企業に入り込む「伴走型」のサポートを増やしていきたいです。労務制度や人材育成を設計し、トラブルが起こらない組織づくりを支える仕事ですね。
つちや:設計から運用まで一緒に作るイメージですね。
飯田:そうですそうです。体力的にも金銭的にも無理なく続けられる形にしていきたいと考えています。
つちや:ほんと、これからが楽しみですね。本日はありがとうございました。
飯田:はい、ありがとうございます。
プロフィール

飯田 吉宏(いいだ よしひろ)
社会保険労務士 / 孚(まこと)事務所株式会社 代表取締役
2004年登録。東商をはじめ、全国の公的団体や上場企業、大学などで200ヶ所以上の登壇実績を持つ。元あがり症という経験を活かした、共感性の高い実践的な講義スタイルに定評がある 。
呉服店での勤務や金融業界での過酷な労使トラブルを経験した後、労働問題の本質を解決すべく社会保険労務士の道へ 。以来22年、制度や法律の専門家として活動する傍ら、自身の「極度のあがり症」という弱点を克服するために話し方のトレーニングを積み、講師としてのスタイルを確立 。現在は「孚(まこと)事務所株式会社」を運営し、全国200ヶ所以上での登壇実績を持つ「伝えるプロ」として、企業研修やセミナーを通じた人材育成に従事している 。
企業研修の枠を越え、商工会議所や大学、上場企業など幅広いステージで講演を行うほか、自身の経験を活かした「伴走型」の組織づくりサポートにも注力 。専門家としての「論理」と、元あがり症ゆえの「共感力」という両面から、組織に心地よい変化をもたらす「伝える力」を届け続けている 。
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