中小企業・個人事業のための「3つの基本戦略」のうちどれが最適解か?

〜 ホームページにも、事業全体にも効くマーケティングの原則 〜

集客がうまくいかないとき。
売上が伸び悩んでいるとき。
事業の方向性にモヤモヤしているとき。

そんなときこそ、「どの戦略で勝つのか?」を明確にすることが大切です。

今回は、事業全体の軸にもなり、ホームページやSNS、営業活動にも一貫性をもたらしてくれる、マーケティングの「3つの基本戦略」をご紹介します。

目次

1. コストリーダーシップ戦略(価格と効率で勝つ)

  • 戦略の本質:「安く、早く、手間なく」提供することで、お客さまに選ばれる。
  • 向いている業態:量をさばけるビジネスモデル、大量仕入れ・自動化ができる業種
  • 実際の例
    • 定額制の動画編集サービス
    • ワンコイン整体
    • 格安スマホやサブスク型の物販事業
  • ホームページや発信のポイント
    • 「○円から」「今だけ無料」など価格訴求を明確に
    • 他社比較や“選ばれる理由”を具体的に記載
    • 手間を省けること、スピード対応を強調
  • リスクと注意点
    • 利益率が下がりがち
    • 安売り競争に巻き込まれる
    • ファンになりにくく、価格だけで選ばれてしまう

中小企業がこの戦略だけで勝負すると、価格競争に巻き込まれやすく、利益が出にくくなるリスクがあります。

2. 差別化戦略(「他と違う」価値で勝つ)

  • 戦略の本質:他社にはない「専門性」「デザイン」「ストーリー」で選ばれる。
  • 向いている業態:強みが明確な個人事業、こだわりのある商品・サービス
  • 実際の例
    • 管理栄養士が運営するパーソナルジム
    • 職人の手仕事を打ち出した家具ブランド
    • 海外経験を活かした英会話教室
  • ホームページや発信のポイント
    • 想いが伝わるストーリーや自己紹介
    • プロの写真や動画で「違い」を見せる
    • 専門的な知識や実績をコンテンツにする
  • リスクと注意点
    • ニッチすぎて市場が狭くなることも
    • 自分のこだわりが伝わらないと独りよがりに
    • 価格や価値が伝わらず「高い」と感じられるリスク

「こだわり」が伝わらないと、自己満足で終わる可能性も。視覚的な伝え方も意識しましょう。

3. ランチェスター戦略(信頼と人間関係で勝つ)

  • 戦略の本質:「この人だからお願いしたい」と思ってもらえる信頼を築く。
  • 向いている業態:士業・コンサル・サロン・地域密着型のビジネス
  • 実際の例
    • 地元の子育て世代に寄り添う不動産屋さん
    • 顔出し・毎日の投稿で相談が増えた行政書士
    • 小規模で密に対応するオーダー家具の工房
  • ホームページや発信のポイント
    • 自分の顔や雰囲気が伝わる写真・文章
    • 実際のお客様とのエピソード
    • SNSやLINEなどでの個別対応のしやすさをアピール
  • リスクと注意点
    • 顧客に振り回されやすい
    • 業務が属人的になり、仕組み化しづらい
    • 担当者が変わると信頼もリセットされる可能性あり

個別対応が多くなるため、業務が属人化しやすい。スケジュール管理やサービス設計に工夫が必要です。

Web制作・デザイン会社

ここでは、Web制作事業の場合の基本戦略の例を挙げたいと思います。

差別化戦略の例

事例:美容サロン特化のホームページ制作パックを展開
→「写真映え」「Instagram連動」「予約導線」など、業界特化型の特徴を明確に打ち出すことで、「なんでもやります」から脱却。
ポイント:プロのカメラマンと提携した撮影付きプランなども差別化に。

ランチェスター戦略の例

事例:地域密着で“月額制保守”の顔が見えるサポートを前面に
→「担当者が変わらない」「Zoomでいつでも相談できる」など、距離の近さで信頼獲得。


💄 女性向けコスメブランド

女性向けコスメブランドの具体例をご紹介します。

差別化戦略の例

事例:肌の悩みに合わせたオーダーメイド美容液の提案
→「赤みが出やすい人向け」や「香料が苦手な方向け」など、成分と設計にこだわりを。
ポイント:Instagramでこだわり成分の開発ストーリーを投稿。

コストリーダーシップ戦略の例

事例:定期購入で20%オフ+送料無料を打ち出し、継続率を向上
→初回価格ではなく、長期的な“コスパ”を訴求して信頼感を高める戦略。


🧑‍💼 士業(行政書士・社労士など)

ここでは、士業さんの場合の具体例をご紹介します。

ランチェスター戦略の例

事例:「創業支援専門の社労士」として、小規模法人と密な関係性を構築
→開業時の悩み相談から補助金対応まで一気通貫サポート。「◯◯さんだから相談したい」という信頼感をベースに。

差別化戦略の例

事例:「障がい福祉事業に強い行政書士」として業界に特化
→手続きの複雑さ、行政の最新情報をわかりやすく発信。競合と明確に差別化。


🍴 飲食店・カフェ

飲食店はカフェの具体例をご紹介します。

コストリーダーシップ戦略の例

事例:ランチ500円ワンコイン戦略で回転率と集客力を高める
→ただ安いだけでなく「ごはん大盛無料」「野菜たっぷり」で価値も訴求。
注意点:利益率を見ながら、サイドメニューやドリンクでバランスを取る。

ランチェスター戦略の例

事例:常連との関係をSNSで“見える化”し、地域密着ファンを拡大
→「○○さん、今週もありがとう!」といった投稿が好評で、新規客の安心感につながる。


🎒 教室・スクール運営

生徒集客が必要な教室・スクールの具体例をご紹介します。

差別化戦略の例

事例:「理系専門の中学生向け塾」として専門性を強調
→通常の学習塾と一線を画し、ロジカルな指導法とカリキュラムで差別化。
ポイント:保護者の声・卒業生の声をブログやSNSで可視化。

ランチェスター戦略の例

事例:「不登校児の居場所づくり教室」としてパーソナルな関わりを大切に
→少人数制+家庭との連携を打ち出し、「ここなら安心して通える」と評判に。


💼 コンサル・講師業

ここでは、コンサル・講師業の具体例をご紹介します。

差別化戦略の例

事例:スライドより「実演・会話」を重視する“対話型セミナー”を開催
→「一般的なセミナーと全然違う」と口コミが広がり、リピーターが増加。

ランチェスター戦略の例

事例:「2名限定のコンサル飯(ランチ相談)」で濃密な関係構築
→顔と名前を一致させて、信頼ベースで仕事がつながる。

リスクを避けるための具体的なポイントを、それぞれの戦略ごとにわかりやすく整理しました。

コストリーダーシップ戦略で失敗しないためのポイント

1. 「値下げ」より「工程の効率化」を考える

単純な価格競争ではなく、仕入れやオペレーションの効率化でコストを削る工夫をしましょう。たとえば、セット販売や定期購入で単価を下げずにお得感を出す方法もあります。

2. 「価値がある安さ」を伝える

「ただ安い」ではなく、「この価格でここまでしてくれるの?」という驚きや信頼が生まれるように、伝え方を工夫しましょう。安い理由をしっかり説明すると安心感が増します。


差別化戦略で失敗しないためのポイント

1. お客さんの「声」を取り入れて調整する

差別化は主観で決めず、お客様が「それが嬉しい」「助かる」と感じる点を重視しましょう。口コミやアンケート、ヒアリングの内容をもとに方向性を微調整することが大切です。

2. 専門性と分かりやすさのバランスをとる

プロとしての専門的な表現に偏りすぎず、「中学生にも伝わる言葉で説明できるか?」という視点を持ちましょう。専門的な魅力も、噛み砕いて伝えることで届きます。


ランチェスター戦略(ニッチ戦略)で失敗しないためのポイント

1. 「誰のためのサービスか」を絞りすぎない

最初からターゲットを狭く設定しすぎると、顧客が増えません。まずは「しぼる前に全体を見」ステップを忘れずに。あえて広めの層に向けて発信し、反応を見てから絞り込む方が安全です。

2. 振り回されないためのルールを作る

お客様に寄り添いすぎると、自分の時間もビジネスも崩れてしまいます。

「対応は〇時〜〇時まで」「納期は△日以内」など、最初からルールや範囲を明示しておくことが、関係性を長く続けるコツです。


3つの戦略を「ミックス」して使うのもOK

現実のビジネスでは、戦略を一つにしぼる必要はありません。

・基本はランチェスター戦略で信頼を築き、
・差別化戦略で選ばれる理由を強調し、
・一部のサービスでコスト競争力を持たせる

といった「いいとこ取り」も可能です。(ただし、コストリーダーシップと差別化戦略のカニバリを起こさないように注意しましょう)

あなたの事業にフィットする組み合わせを、試行錯誤しながら見つけていきましょう!

3つの基本戦略をホームページに当てはめた場合、どんな風に考えたらいいのか?については、
下の記事で説明しています。
↓↓↓
ホームページの基本戦略とマーケティングについて解説

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