
「商品・サービスのことを投稿すれば、それが集客になる」
SNSをはじめたばかりの方が、最初にやってしまう典型的な間違いです。
「新メニューが出ました!」「今月のキャンペーンはこちら!」「ご予約はDMへ!」
こういった投稿を毎日繰り返していても、フォロワーは増えず、問い合わせも来ない。それどころか、既存のフォロワーにすら「また宣伝か」と思われて、どんどん離れていく。
1,000社以上の集客をサポートしてきた中で、このパターンで失敗している方を本当にたくさん見てきました。
なぜ宣伝だけの投稿がダメなのか。そして、セールスライティングの観点から「正しいSNS投稿」はどう作るのか。今回はその核心をお伝えします。
そもそも「セールスライティング」とSNSは相性が悪い?
セールスライティングとは、読んだ人に「行動してもらう」ための文章術のことです。購入、予約、問い合わせ……こういった行動を引き出すために、文章の構成・言葉の選び方・心理的な順序を設計します。
ところが、SNSで宣伝だけを投稿しているということは、セールスライティングの「最後のステップ」だけをやっているようなものです。
料理に例えるなら、食材の説明も、調理の過程も、お皿の演出も何もなく、いきなり「食べてください」と皿を差し出すようなものです。
食欲が湧く前に「食べろ」と言われても、誰も食べたくなりません。それと同じことが、SNSの宣伝投稿で起きています。
「宣伝だけ投稿」が集客できない3つの理由
理由1:読む人の「心の準備」ができていない
人が何かを購入したり、問い合わせをしたりするには、段階があります。
「知らない」→「知っている」→「興味がある」→「信頼している」→「行動する」
宣伝投稿は「行動する」段階の人にしか刺さりません。しかし、SNSであなたの投稿を見ている人のほとんどは、まだ「知っている」か「興味がある」くらいの段階です。
「信頼」が積み上がっていない状態で「買ってください」と言っても、素通りされるだけです。
理由2:SNSはそもそも「広告の場所」ではない
ユーザーがSNSを開く理由を考えてみてください。「友人の近況を見たい」「面白い情報を見たい」「役に立つ知識を得たい」といった動機がほとんどです。
「今日のランチは〇〇!」「営業時間のお知らせ」「セール中!」という投稿は、ユーザーの「見たいもの」とズレています。アルゴリズム(SNSの表示ルール)も、エンゲージメント(いいね・コメント・保存)が少ない投稿は表示しにくくなります。宣伝投稿はエンゲージメントが低くなりやすく、そもそも人の目に届かなくなっていきます。
理由3:信頼が積み上がらないまま売ろうとしている
セールスライティングの大原則に「先に価値を与えよ」という考え方があります。
相手の役に立つ情報を提供する、相手の悩みに共感する、相手が「なるほど」と思える視点を示す。こういった積み重ねがあって初めて、「この人の言うことは信頼できる」という感情が生まれます。
宣伝だけを続けているということは、この「信頼の積み上げ」を一切せずに、いきなり財布を開かせようとしていることになります。
「宣伝の投稿」と「集客の投稿」の違い
具体的に見てみましょう。同じ美容室が投稿する場合の比較です。
| 宣伝の投稿(NG) | 集客の投稿(OK) |
|---|---|
| 「今月のカラーキャンペーン、20%オフです!ご予約はDMへ」 | 「『カラーがすぐ褪せる』とお悩みの方、実は原因は施術後のケアではなく、カラー前の髪の状態にあることがほとんどです。来店前にこれだけやっておくと持ちが全然変わります→(解説)」 |
| 「新メニュー、トリートメントコース始まりました!」 | 「美容室で『おまかせします』と言った結果、思ってたのと違う仕上がりになった経験はありませんか?こう伝えると希望通りになりやすい、という言葉を紹介します」 |
| 「本日空きあります!当日予約OK!」 | 「40代になってから急に髪のボリュームが出にくくなった、という方がここ数年で増えています。よく聞かれる原因と、まず試してほしい対処法を解説します」 |
右側の「集客の投稿」は、一切「宣伝」をしていません。しかし、読んだ人は「この美容師さん、詳しそう」「悩みを分かってくれる」「一度行ってみたい」と感じます。
これが、セールスライティングの考え方をSNSに応用した状態です。
正しいSNS投稿の構成、「AIDA」を意識する
セールスライティングでよく使われるフレームワークに「AIDA(アイダ)」があります。
Attention(注意を引く)→ Interest(興味を持たせる)→ Desire(欲求を生む)→ Action(行動を促す)という流れです。
SNSの1投稿でこの全部をやろうとする必要はありません。むしろ、宣伝以外の投稿でA・I・Dを積み上げ、ある程度の信頼が溜まった段階で初めてActionの投稿(宣伝)をする、という流れが正しい使い方です。
目安のバランス
投稿全体の8割:役に立つ情報、悩みへの共感、専門的な視点(A・I・D)
投稿全体の2割:告知、予約案内、キャンペーン(Action)
この8:2のバランスで運用することで、フォロワーに「この人の投稿は役に立つから見よう」という習慣が生まれ、宣伝投稿をしたときにも自然と目に留まるようになります。
「価値ある投稿」のネタがない、という方へ
「でも、役に立つ情報なんてそんなに出てこない」と感じる方がいます。これは、自分の仕事を「当たり前のこと」として見すぎているからです。
あなたが「当たり前」だと思っていることは、お客さんにとって「知らなかった!」という情報です。整骨院なら「正しい姿勢の作り方」、税理士なら「領収書で意外と見落とされていること」、飲食店なら「この食材の正しい保存方法」。こういった投稿は、宣伝より何倍も読まれます。
「自分の仕事の中にある、お客さんが知らないこと」を書き出してみてください。最低でも20〜30個は出てきます。それが、あなたのSNS投稿のネタです。
SNSは「信頼の口座」に貯金する場所
SNSを集客に使うなら、「宣伝する場所」ではなく「信頼を積み上げる場所」として捉え直すことが最初の一歩です。
セールスライティングでいう「先に価値を与えよ」を、毎日の投稿で地道に実践する。それが積み重なって初めて、宣伝投稿が「宣伝」ではなく「お知らせ」として読まれるようになります。
今日からの投稿を振り返ってみてください。もし宣伝の割合が半分を超えているなら、まずそこを見直すだけで、SNSの反応は変わり始めます。
