
イラストレーターの仕事は、いま2つに分かれています。
イラストをただつくるだけの仕事は、AIに取られていっています。 似顔絵、記事に添えるイメージイラスト、資料の挿絵。こうした依頼は、生成AIで済ませる会社が増えました。
一方で、AIにできない仕事があります。オリジナルのキャラクターをつくることです。
この記事では、取られる側と取られない側の違いと、取られない側に回るための集客方法をご紹介します。デザイン会社としての集客は大阪のデザイン会社の集客方法に書いているので、ここはイラストレーターに絞ります。
AIに取られる仕事と、取られない仕事があります
まず線を引きます。
AIに代替されている仕事。 似顔絵、普通のイメージイラスト、飾りとして置くだけの絵。「こういう感じの絵がほしい」という依頼は、AIに指示を出せば出てきます。
品質を問わない用途では、すでに置き換わっていっています。
AIにできない仕事の一つが、オリジナルのキャラクターをつくることです。
見た目を似せることはできても、設定があって、性格があるキャラクターは、AIでは満足のゆくものができにくいです。
絵そのものが目的ではない依頼、つまり記事の見た目を整えたい、資料の空白を埋めたいという用途では、描いた人がAIなのかどうか?は問われません。
だからAIで描くという簡単で安いほうが選ばれます。
逆に、そのキャラクターを看板にしたい、商品の顔にしたいという依頼では、キャラクターのオリジナル性が問われます。
違いは何かというと、1枚の絵なのか、使い続けられる資産なのかです。1枚の絵は代替されます。資産は代替されません。
AIが広がって仕事が減った職種の話はAIの台頭で残る仕事と消える仕事にも書いていますが、クリエイティブの仕事では残る側と消える側の差が大きくなっています。
自分のIPを持つ側に回ります
IPとは、人間の創造的活動によって生み出されたアイデア、発明、デザイン、またはアニメ・ゲーム・キャラクターなどの創作物のことです。
IPは、知的財産(Intellectual Property)の略称です。
このIPについて、一番お伝えしたい内容があります。
自社でIPを持つようにしてください。
IPというのは、自分がつくって権利を持っているキャラクターなどのことです。誰かに頼まれて描いたものではなく、自分の持ちものとして用意しておくキャラです。
1、受注の形が変わります
IPがあると、仕事の受け方が変わります。
広告作成の依頼が来たときに、そのIPを使ってクリエイティブをつくることができます。
「イラストを描いてください」という依頼を受けるのではなく、「このキャラクターで広告をつくります」という提案になります。
この違いは大きいです。
絵を描く作業で見積もられると、AIと作業の価格を比べられます。キャラクターを使う提案なら、AIには難しいです。比べられません。
そのIP、キャラクターは自分しか持っていないためです。
2、使い回しができます
一度つくったIPは、別の案件でも使えます。広告、パッケージ、グッズ、動画。
毎回ゼロから描く仕事は、描いた分だけで終わります。 IPを使う形なら、1つつくったものが何度も働きます。
3、依頼が続きます
キャラクターを使った広告が当たると、次の展開を頼まれます。シリーズの続き、別の媒体への展開、季節の差し替え。
1枚で終わる依頼ではなく、続く案件になります。
IPにするには、絵だけでは足りません
キャラクターを描いても、それだけではIPになりません。使う側が判断できる材料が必要です。そろえるのは3つです。
1、設定
名前、年齢、どこに住んでいて何をしているか。好きなもの、苦手なもの。この設定があると、使う側が「うちの商品に合うか?」を判断できます。
設定がない絵は、かわいくても採用されません。広告に載せたときに何を言わせるかが決まらないためです。
2、性格
明るいのか、ひねくれているのか、落ち着いているのか。性格が決まっていると、セリフが自然に出てきます。
そして性格は、使う側が一番気にする部分です。自社の商品に合わない性格のキャラクターは選ばれません。
3、動かしても崩れない形
正面、横顔、後ろ姿、走っているところ、怒っているところ。角度と表情を変えても同じキャラクターだと分かることが条件です。
崩れない形を持っていることが、資産であることの証明になります。
マーケティングに特化した広告をつくるサービスにします
もう1つの道があります。絵を描くことではなく、売れる広告をつくることをサービスにする形です。
依頼する側が本当に欲しいのは、絵ではありません。その広告で商品が売れることです。
だから「イラストを描きます」ではなく「反応が取れる広告をつくります」という売り方になります。 誰に向けて、何を伝えて、どう動いてもらうか。ここまで込みで引き受ける形です。
ここも、AIと比べられない場所になります。AIは絵を出せますが、誰に何を伝えるかは決められません。
引き受ける範囲は3つに分かれます。
1、誰に向けるかを決める
その商品を買うのはどんな人か?を先に決めます。年代、性別、何に困っているか。ここが決まらないと、絵の方向も決まりません。
2、何を伝えるかを決める
商品の説明をするのか、使ったあとの変化を見せるのか。伝える内容が決まると、キャラクターにさせることも決まります。
3、どう動いてもらうかを決める
見た人に何をしてほしいのか。店に来てもらうのか、サイトを見てもらうのか、問い合わせてもらうのか。ここが絵の中に入っていないと、見られただけで終わります。
この3つを引き受けられると、絵の単価ではなく広告の成果で話ができるようになります。 広告の文章と構成の考え方は絵だけでは売れない理由でも扱っています。絵だけで判断されない仕事にするには、この部分を持っておくことになります。
集客もIPを使います
では、どうやって仕事を取るか。ここでもIPを使います。
作品集を並べて「こういう絵が描けます」と見せる形は、ほかのイラストレーターと同じ土俵になります。そして今はAIも同じ土俵に乗っています。
自分のキャラクターで知られている状態をつくってください。 「あのキャラクターの人」と覚えられると、指名で依頼が来ます。
やることは、キャラクターを使って発信し続けることです。日常の1コマ、季節のあいさつ、商品に添えた形。キャラクターが動いているところを見せると、使ったときの姿が想像できます。
依頼する側は「このキャラクターをうちの商品に使えるか?」を考えます。だから使われている場面を先に見せておくと、話が早くなります。
ピンタレストとインスタグラムに作品を載せます
SNSは2つに絞ります。
ひとつが、ピンタレストです。
画像を探している人が集まる場所で、しかも探しているのは「使える絵」です。
日本では使う人が少なめですが、制作物を探している担当者が見に来ます。 検索から流れてくる形なので、投稿が古くなっても見られ続けます。インスタグラムは新しい投稿から順に見られますが、ピンタレストは1年前の投稿が今日の依頼につながることがあります。
もうひとつが、インスタグラムです。 こちらは作品を見せて、人に覚えてもらう使い方になります。キャラクターの発信とも相性がよくなります。投稿するものが続かない場合の考え方は投稿するものが続かないときに書いています。
どちらも、作品を置くだけにしないでください。 キャラクターの設定、どう使えるか、実際に使われた例。ここが準備されていると、依頼する側が判断できます。
ホームページは必須です
イラストレーターの場合、ホームページは必須です。
ほかの業種では後ろに回ることもあります。うなぎ屋やハンバーガー屋では優先度が下がります。ただしイラストレーターは逆です。しっかりとページをつくってください。
理由は依頼の流れです。SNSで見つけた担当者は、社内で稟議を通します。そのときに見せるものが必要になります。SNSのアカウントを上司に見せる形にはなりません。
載せるのはこの4つです。
- 持っているIPの一覧どんなキャラクターがあって、どう使えるか
- 実際に使われた事例どの会社の、どの媒体に使われたか
- 引き受けられる仕事の範囲キャラクター制作、広告制作、どこまでやるか
- 問い合わせの窓口何を書いて送ればいいかまで
そして、お金のかからない集客を目指してください。 広告を出さずに、検索とSNSから来てもらう形です。地域名と業種を組み合わせた検索の狙い方は地域名と業種を組み合わせた検索の狙い方に書いています。
ページの組み立て方は売れるホームページ設計パックでも扱っています。
AIで作れないクオリティがあれば、仕事に困りません
最後に、前提の話をします。
ここまで書いたことは、絵の質が足りていることが前提です。
AIでは作れないレベルのクオリティがあれば、この時代でも仕事に困りません。 逆に、AIで出せる程度の絵しか描けないなら、IPを持っても広告をつくっても、価格で比べられます。
だから一番の投資は、描く力を上げることです。集客の工夫は、その上に乗るものになります。
フリーランスとして新しい取引先を増やす進め方はフリーランスの新規開拓セミナーでお伝えしています。
よくある質問
イラストレーターの集客でいただく質問です。
Q: IPをつくる時間がありません。
A: 受注の合間に少しずつ進める形になります。1つできれば受け方が変わるので、優先する価値があります。完成度を上げてから出すのではなく、出しながら育てる形で進めてください。
Q: キャラクターをつくっても、使ってもらえるでしょうか。
A: 使われている場面を先に見せておくと、話が進みやすくなります。架空の商品に載せた形でもかまいません。依頼する側は「うちで使えるか?」を考えているので、想像できる材料が必要です。
Q: 似顔絵の依頼はやめたほうがいいですか?
A: やめる必要はありません。すでにAIに置き換わっている領域なので、そこを主力にしないという話です。来た依頼を断る理由にはなりません。
Q: ピンタレストは日本で使われていますか?
A: 使う人の数はインスタグラムより少なくなります。ただし見に来ているのが「絵を探している人」なので、依頼につながる割合が変わります。数より中身で選ぶ形です。
Q: 作品集だけ載せているサイトでは足りませんか?
A: 絵の並びだけでは、どう使えるかが伝わりません。IPの一覧、使われた事例、引き受けられる範囲。この3つを足してください。
Q: 広告をつくるところまでは経験がありません。
A: 小さい案件から入る形になります。知り合いの店のチラシ、自分のキャラクターを使った架空の広告。実例が1つあれば、次の話ができます。
Q: 単価が上がりません。
A: 絵を描く作業で見積もられている状態だと思います。IPを使う形か、広告をつくる形に変えると、比べる相手がいなくなります。
Q: AIを使ってはいけないのですか?
A: 使ってかまいません。自分で使って作業を速くするのは別の話です。問題になるのは、AIで出せる程度のものを売っている状態です。
Q: 大阪以外の仕事も取れますか?
A: 取れます。やりとりがオンラインで済む仕事なので、商圏が広がります。ピンタレストと検索からは、地域に関係なく人が来ます。
Q: 何から始めればいいですか?
A: いま描いている絵の中から、キャラクターになりそうなものを1つ選んでください。設定を決めて、何パターンか描いて、使われている場面を作る。ここからです。
まとめ
イラストレーターの集客は、何を売るか?で変わります。
1枚の絵を売っているなら、AIと価格を比べられます。 似顔絵やイメージイラストは、すでにAIが参入していて、自社で内製されている企業も多いです。
自分のIPを売っているなら、比べる相手がいません。 そのキャラクターは自分しか持っていないためです。広告の依頼が来たときに、そのIPを使ってクリエイティブをつくる。この形に変えてください。
集客もIPでやります。作品集を並べるのではなく、キャラクターで覚えてもらう。SNSはピンタレストとインスタグラムの2つです。ほかにも、XやYouTubeもいいでしょう。
そしてホームページはしっかりつくってください。SNSで見つけた担当者が、社内に見せるためのものが必要になります。
最後に、全部の前提があります。AIでは作れないクオリティです。クオリティが高ければ、IPを作らずとも、AIに負けないので仕事に困りません。
