
うなぎ屋の集客方法について、最初にお伝えしておきたいことがあります。
うなぎ屋は、自分から強く売り込まないほうが選ばれる業種ということです。
「集客してはいけない」という話ではありません。集客やることはあります。
ただし「自分で売り込む」形のものは、この業種では優先度が下がります。口コミを集める、返信する、ホームページを作ってネット広告を出す。どれもあとにしましょう。
理由は業種に合った事業戦略です。この記事では、なぜそうなるのか?と、では何をしたらいいのかを順番にご紹介します。
うなぎ屋は、売り込まなくても探してもらえる業種です
まず市場の状況から見ていきます。
うなぎを食べる市場は、ニーズの大きい市場です。そのなかで、うなぎの専門店は、ライバルの少ない市場となります。
そう、大阪でうなぎの専門店は、かなり少なくなっています。ラーメン屋の数と比べると、はっきりした差があります。
そしてほとんどが老舗のお店です。 家族でやっているところも多くあります。何十年と続いてきたお店が、その地域で知られている状態になっています。
探している人の数に対して、お店の数が少ない。だから強烈に売り込まなくても、探している人のほうから見つけてくれます。
つまり目指すのは「噂になる老舗」です。自分で言うのではなく、人が話してくれる状態を作ります。
ここがラーメン屋や居酒屋との一番の違いです。エリアごとの客層と平均単価で書いている内容は、お店の数が多い業種を前提にしています。うなぎ屋は前提が違います。
すでに良い市場のなかにいます
小さい会社が生き残る方法として、狭い範囲を選んでそこで強くなる考え方があります。ニッチ市場の見つけ方に、その探し方を書いています。
うなぎ屋は、探す必要がありません。最初から良い市場のなかにいます。
扱っているものが1つに決まっていて、作るのに技術が要り、参入する人が少ない(専門店は)。狭めようとしなくても、すでに市場が存在します。シェア率も取りやすいです。
だからやることが一般的な居酒屋などとは異なります。
その市場の中で名前が知られる作業になります。 大阪でうなぎを食べたい人が思い浮かべるお店に入っているかどうか。ここが勝ち負けの分かれ目です。
そして思い浮かべてもらう方法が、来たお客さんの口コミです。
自分でPRせず、取り上げてもらうことを目指します
ではどこに力を入れるか。自店で発信しないで、他の媒体に取り上げてもらうことです。
うなぎ屋は、グルメ雑誌の取材で掲載されることが多くあります。 専門店が少ないので、特集を組むときに候補が限られます。長く続いているお店なら、なおさら声がかかります。
ここで自店から売り込む形は取りません。 うなぎ屋には業種としての格式があります。フレンチレストランと同じで、居酒屋のように自分から宣伝を打つお店とは見られ方が違います。
自分で「おいしいですよ」と言うと、格が下がります。 だから他の人に言ってもらう形を目指します。
やるのは、取材が来たときに応えられる状態を作っておくことです。そろえておく材料は4つです。
1、創業の年と代々の話
いつ始まったお店で、今が何代目か。初代が何をしていた人で、どう受け継がれてきたか。記事になるのはこういうところです。 味の説明より、続いてきた時間や歴史や言葉のほうが読まれます。
2、素材の仕入れ先
どこの産地のうなぎを、どんな状態で仕入れているか。いつから同じところと付き合っているかも答えられるようにしておきます。 長く続いている取引は、それ自体が信用の材料になります。
3、焼き方と道具
炭の種類、たれの扱い、使っている串や焼き台。代々受け継いできた道具があれば、写真に撮れるのが望ましいです。
4、古い写真や資料
昔のお店の写真、古い看板、当時の品書き。取材では、今の写真だけでは記事が組めません。 古いものが1枚あると、記事の作りが変わります。
この4つを紙かデータでまとめておくと、連絡が来たときにすぐ渡せます。毎回思い出しながら話すより、同じ内容が正確に伝わります。
取り上げてもらう媒体は、グルメ雑誌だけではありません
媒体はいくつかあります。それぞれで載り方が違います。
グルメ雑誌と情報誌。 うなぎの特集、和食の特集、季節の企画。土用の丑の日の前は、候補を探している編集者がいます。
地域の情報誌とフリーペーパー。 商店街や自治体が出しているものも含みます。全国誌より声がかかりやすく、近所のお客さんに届きます。
テレビの情報番組。 老舗を扱う企画で候補に入ります。こちらは狙って入るものではありませんが、雑誌に載った実績があると見つけてもらいやすくなります。
ガイドブックとまとめ記事。 「大阪のうなぎ屋」をまとめた記事やサイトです。ここに入っているかどうかは、一度確かめてください。 載っていなければ、連絡先が書かれている媒体に情報を送る形もあります。
どの媒体でも、売り込む形は取りません。 聞かれたときに答えられる状態を作って、声がかかるのを待ちます。そして一度載ると、別の媒体がそれを見て連絡してくることがあります。最初の1本が次につながります。
お客さんが自然に発信してくれる仕組み
取り上げてもらう、もう1つの道が、お客さんの発信です。
こちらも、お願いして書いてもらうのではありません。 書きたくなる状態を作る形です。
材料は3つあります。
1、変わったメニュー
ほかで見ないものがあると、話したくなります。珍しい部位、季節だけのもの、このお店にしかない形。「あそこにこういうのがあった」と言える何かがあるかどうかです。
2、歴史が感じられるお店
創業からの年数、代々の写真、古い看板、建物そのもの。うなぎ屋の強みは、新しさではなく積み上げてきた時間です。 来たお客さんが「ここは古い」と感じられる要素を、消さずに残しておきます。
3、清潔感と味と雰囲気
この3つがそろっていれば足ります。奇をねらう必要はありません。
うなぎは単価が高く、特別な日に食べるものです。 だから満足したお客さんは、その日のことを人に話します。味と雰囲気で満足してもらえれば、発信は自然に起きます。
自分から売り込まないで集客する
ほかの飲食店向けに書かれている集客方法のうち、自分から働きかける作業はカットします。やりません。そのかわり、噂になる話題づくりをおこないましょう。
1、口コミを促すこと
Googleマップの口コミは、お願いして集める形が一般的です。ここはお願いしてもOKですし、お願いしなくてもOKです。口コミの集め方という記事に、集め方を書いています。
ただしうなぎ屋では、そこまで促す必要がありません。 お客さんが自発的に投稿してくれる業種だからです。会計のときに声をかけなくても、大丈夫です。もちろん声をかけてもらっても構いません。
2、食べログへの返信
返信しなくてかまいません。
ハンバーガー屋のように、ほかのお店と比べられる業種では、返信の内容を他のユーザーが見ています。ハンバーガー屋の記事にはそう書きました。うなぎ屋は、返信をしなくても老舗で格式あるから当然とユーザーも思ってくれる場合が多いので、ここに時間を使う意味が少なくなります。
Googleマップの口コミへの返信も同じです。手が空いているときに返す程度で大丈夫です。返信文の作り方は生成AIで返信文の下書きを作る方法にまとめています。
3、ホームページ
必要ありません。
場所、営業時間、品書き、休みの日。知りたいことはGoogleマップで伝わります。うなぎ屋を探している人は、お店のホームページを読み込んでから行くのではなく、SNSやGoogleマップで場所と営業時間を確かめて向かいます。
ホームページを作る費用と手間を、ほかのところに使いましょう。
やっておくのはGoogleマップとインスタグラムです
Googleマップは必須です。 登録して、営業時間と場所を正確にして、写真を入れる。ここだけは外せません。「○○駅 うなぎ」で探している人が、地図に出てこないと見つけられません。手順は登録の手順に、写真と情報の埋め方はGoogleビジネスプロフィールのセミナーで扱っています。
インスタグラムもやっておいたほうがよいです。 毎日投稿する必要はありません。焼いているところ、季節の品書き、お店の中の様子。これを置いておくと、来る前に見た人が雰囲気を確かめられます。
投稿の作り方は飲食店の写真と動画の撮り方が参考になります。うなぎは焼く工程があるので、見せられる場面が多い商材です。
内装は、清潔感があれば足ります
最後にお店の作りです。
新しいモダンな内装にする必要はありません。 清潔感があれば足ります。
むしろ古いまま残しておくほうが、この業種では価値になります。改装して新しくすると、歴史が感じられる要素が消えます。それはうなぎ屋にとって、強みを自分で削ることになります。
掃除が行き届いているか、においがこもっていないか、器が欠けていないか。見るのはここです。
においについては、分けて考えてください。焼き場から出るにおいは、うなぎ屋の強みです。外に漏れていれば、通りがかりの人に伝わります。一方で、こもって抜けないにおいは別の話になります。換気と座席まわりの掃除で変わる部分です。
器と箸置き、おしぼり、品書きの汚れ。ここは古さと関係なく見られます。建物が古いことは許されますが、手入れをしていないことは許されません。
ただし場所によって話が変わります。梅田の都心部、グランフロント大阪のような商業施設の中にあるうなぎ屋なら、モダンな店構えのほうが合います。 周りのお店がそろっているので、古いままだと浮きます。
つまり町のうなぎ屋は古いまま、都心の商業施設の中なら整えた形。 立地で判断してください。
よくある質問
うなぎ屋の集客でいただく質問です。
Q: 集客をしなくていいということですか?
A: 違います。集客はします。自分から強く売り込む形を取らないという意味です。やるのは、噂になる材料を用意することと、Googleマップとインスタグラムの整備です。地図に出てこないと、探している人に見つけてもらえません。
Q: グルメ雑誌に取材してもらうには、どうしますか?
A: 売り込みに行くのではなく、聞かれたときに話せる材料をそろえておくことです。創業の年、代々の話、素材の仕入れ先、焼き方。これが整理されていると、記事になりやすくなります。
Q: 自分でPRしてはいけないのですか?
A: いけないわけではありませんが、業種としての格式と合わなくなります。フレンチレストランが値引きを前面に出さないのと同じです。自分で言うより、他の人に言ってもらう形を目指してください。
Q: 口コミが少ないのですが、お願いしたほうがいいですか?
A: 促さなくてもたまっていく業種です。数が少ないのは、お店の数自体が少ないので比べる相手も少ないためです。無理にお願いする必要はありません。
Q: 食べログの評価が低いコメントがあります。
A: 返信しなくてかまいません。比べられる相手が少ない業種なので、1件のコメントで選ばれ方が変わりにくくなります。気にしすぎないでください。
Q: インスタグラムは何を載せますか?
A: 焼いているところ、季節の品書き、お店の中の様子です。毎日でなくてかまいません。来る前に雰囲気を確かめてもらう役として置いておく形です。
Q: 古い建物なので、改装したほうがいいでしょうか。
A: 清潔感が保てているなら、そのままのほうが強みになります。歴史が感じられる要素は、作ることができません。掃除とにおいと器だけ見てください。
Q: 商業施設の中に出す場合はどうしますか?
A: 周りのお店に合わせて整えた形にしてください。グランフロント大阪のような場所では、古いままだと浮きます。立地で判断が変わります。
Q: 変わったメニューが思いつきません。
A: 珍しい部位、季節だけの一品、器や出し方を変えたもの。大きく変える必要はありません。「あそこにこういうのがあった」と話せる何かが1つあれば足ります。
Q: 家族だけでやっているので、手が回りません。
A: だからこそ省けるものを省く形になります。ホームページ、口コミのお願い、食べログの返信。この3つをやめて、Googleマップとインスタグラムだけに絞ってください。
まとめ
うなぎ屋は、自分から強く売り込まなくてもいい業種です。
理由は、うなぎ専門店の数が少ないことです。
大阪でうなぎの専門店は、ラーメン屋と比べるとかなり少ないです。強烈に売り込まなくても、探している人のほうから見つけてくれる状態です。
力を入れるのは、集めることではなく取り上げてもらうことです。グルメ雑誌の取材と、お客さんの口コミ投稿。どちらも自分から売り込む形ではありません。
そのために用意するのは3つ。ほかで見ないお品書き、歴史が感じられるお店、そして清潔感と味と雰囲気。
優先順位の低いものは3つあります。広告を使って売り込むこと、食べログへの返信、ホームページ運用。家族で回しているお店なら、これらをやめて手を空けてください。
Googleマップとインスタグラムは必須です。この2つをやって、あとは噂になる材料をそろえる。それがうなぎ屋の集客方法になります。
