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小規模事業者の求人に応募が来ない、給与で勝てないなら、どこで選ばれるか

つちや たけし
1,000社以上の店舗集客と会社集客をサポートしてきたWebマーケティングプランナー。複数のYouTubeチャンネル運営経験を持ち、複数のSNSやサイトを運営、実践的なマーケティング戦略の立案・実行を得意とする。「理論より実践」をモットーに、現場で使える具体的なノウハウを提供している。

求人を出しているのに、応募が1件も来ない。媒体を変えてみた、写真を1枚足してみた、給与も少し上げた。それでも反応がない。従業員が数名の会社でこの状態になると、打つ手がないように感じます。

採用の記事を読むと、求人票の書き方、媒体の選び方、応募条件の見直しといった話が出てきます。

書いてあることは正しいのですが、想定されているのは人事担当者がいる規模の会社です。社長が面接も経理も現場もやっている会社だと、前提が合いません。

今回は、従業員が数名の会社を前提に書きます。給与以外で選ばれる方法をご紹介します。

募集に広告を使うなら、グーグル広告、Facebook広告、インスタグラム広告などが使えます。

目次

応募が来ない一番の原因は、給与と環境です

まず正直なところから書きます。小規模事業者の求人に応募が来ないのは、給与が安いか、働く環境が良くないからです。

多くの場合この2つのどちらか、あるいは両方が原因になっています。

求人サイトの画面を思い出してください。求職者は条件で絞り込んで並べ替えます。給与の下限を指定し、休日数で絞り、通勤時間で切る。

この操作をされた時点で、条件が下のほうにある求人は一覧に出てきません。読まれていないのではなく、表示されていないのです。

そうなると、求人票の文章を直しても結果は変わりません。読む画面にたどり着いていないからです。

応募をたくさん集めたいなら、給与や環境そのものを良くする必要があります。これは避けて通れない話で、言い方を工夫してどうにかなる部分ではありません。

ただし、給与の勝負では大手に追いつけません

ここで多くの小規模事業者が行き詰まります。給与を上げる必要がある。けれど上げられる幅には限界があります。

資金力が違うので当然です。同じ職種で月5万円の差があるとき、その5万円を埋める体力がない会社は珍しくありません。無理に上げれば利益が消えます。

つまり、条件表の数字で並べられる限り勝てません。同じ土俵に乗っている時点で不利が決まっています。

そこで考え方を変えます。条件表に載らない部分で選ばれる会社になる。これが小規模事業者の採用の現実的な道筋です。

条件以外で選ばれる3つの要素

給与以外で人が選ぶ要素は、実際にあります。しかもこの3つは、小規模な会社のほうが有利になりやすい部分です。

立地がよくて通いやすい

通勤は毎日発生します。片道15分と片道60分の差は、1日90分、1か月で30時間以上の差になります。給与が月1万円高くても、通勤に毎日1時間余分にかかる職場を選ばない人は多くいます。

これは小さい会社が持ちやすい強みです。採用範囲を広げずに、近所の人だけを狙えるからです。大手は広域から集めようとして、結果的に遠方からの応募も受けます。地元で完結する採用は小回りが利くほうが得意です。

求人票に「駅から徒歩5分」と書いて終わらせないこと。自転車で通える、駐車場がある、通勤手当の実額が出る、といった具体を書くと伝わり方が変わります。

臨機応変に時間を考慮してくれる

これが一番効く要素かもしれません。子どもの行事で休みたい、週に1日だけ早く上がりたい、通院の日は時間をずらしたい。こうした事情を持つ人は多く、しかも大きい組織ほど対応できません。

規定で動く会社は、例外を作ると他の社員にも適用しなければならなくなります。数名の会社なら、その場で話して決められます。

融通がきくことは条件表に載りません。だから書かなければ伝わりません。「シフト相談可」では弱いです。実際にどう対応しているかを書いてください。

たとえば、学校行事の日は振替で対応している、病院の予約に合わせて出勤時間を動かしている、といった事実です。

人間関係がよい

長く働くかどうかを分ける要素として、これが大きい。人数が少ない職場は、合えば居心地がよく、合わなければ逃げ場がありません。振れ幅が大きい。

良い状態にある会社は、それを伝える価値があります。ただし難しさもあります。「アットホームな職場です」と書いても信用されないからです。あの言葉は使われすぎて、むしろ警戒されることさえあります。

言葉で主張せず、分かる形にする。次の章でその方法を書きます。

この3つは、離職率にも効きます

ここで話がつながります。立地、時間の融通、人間関係。この3つがそろっている職場は、辞める人が少なくなります。

採用を回数で考えてみてください。1人採用して半年で辞められると、また募集をかけることになります。媒体費がかかり、面接の時間がかかり、教える時間もまたかかります。年に3回採用している会社と、年に1回で済んでいる会社では、同じ人数を維持するための負担がまるで違います。

逆から言えば、定着すれば採用の回数が減ります。回数が減れば、1回の募集に使える予算を増やせます。給与も上げやすくなる。

つまり「応募を増やす」と「辞めない」は別々の課題ではなく、同じ問題の裏表です。応募が来ないことに悩んでいる会社は、採用の入口だけを直そうとしがちですが、出口をふさぐほうが効く場合があります。

写真を載せると、応募が変わる可能性が高い

人間関係や雰囲気は、文章では伝わりません。「風通しのよい職場」と書いても、読む側には判断材料がない。

そこで写真です。実際に働いている様子、休憩しているところ、作業している手元、職場の中の様子。こうした写真が入っている求人は、応募が増える可能性が高いと考えています。

理由は想像できると思います。求職者が一番不安なのは、入ってみるまで中が分からないことです。写真があれば、どんな人がいて、どんな場所で働くのかが先に分かります。判断材料が増えるぶん、応募のハードルが下がる。

撮るときの注意点をいくつか。整えすぎた写真は逆効果になります。きれいに片付けて誰もいない事務所を撮ると、情報量がゼロになる。人が写っているほうが伝わります。社長だけが写っている写真より、一緒に働く人が写っている写真のほうが知りたい情報に近い。

顔を出すのが難しい場合もあるでしょう。後ろ姿、手元、横顔でも構いません。人がいる気配があることが大事です。

媒体の外に経路をつくる

ここまでの話には前提があります。条件で絞り込まれる場所にいる限り不利だということ。なら、絞り込まれない場所を持てばいい。

求人媒体以外に、人が来る経路は4つあります。

自社サイトの採用ページ。これが一番手を入れやすい。媒体の求人票は書ける量が決まっていますが、自社のページなら制限がありません。写真を何枚でも置けるし、働いている人の話も載せられる。社名で検索された時に出てくる場所でもあるので、媒体を見た人が次に確認しに来る先にもなります。

SNS。普段の仕事の様子を出しておくと、求人を出す前から中が見えている状態になります。投稿の目的を採用に限る必要はありません。日々の仕事を出していれば、見ている人のなかに「ここで働いてみたい」と思う人が出てきます。

知り合いと取引先。急ぎの場合はここが一番速い。費用もかかりません。今いる人に声をかけてもらう、取引先に聞いてみる。この2つは、動いた当日に反応が返ってくることもあります。

地域の経路。ハローワーク、商工会、地域の掲示板や回覧。地味に見えますが、近所で働きたい人に届きます。立地の良さを強みにしたい会社と相性がいい。

4つのうちどれかに絞る必要はありません。媒体だけに頼っている状態から抜けることが目的なので、手の届くところから1つ増やせば十分です。

口コミと紹介が出てくる状態をつくる

定着している人がいる職場では、紹介が出ます。知り合いに声をかけてもらえる。これは媒体費がかからない採用経路です。

紹介が出ない会社は、紹介したくない理由があるということでもあります。人を呼べる職場かどうかは、働いている人が一番よく知っています。

紹介を出やすくする工夫はあります。募集していることを、今いる人に明確に伝えること。これができていない会社が多い。社長の頭の中では募集中でも、スタッフが知らなければ声をかけようがありません。どんな人を探しているかまで共有しておくと、心当たりが出てきます。

紹介で入った人には、紹介した側の責任感がついてきます。自分が呼んだ人なので面倒を見る。これが結果として定着につながることもあります。

口コミも同じ構造です。働いた人が外で何を言うかは、こちらで決められません。ただ、言われる内容を変えることはできます。

先に挙げた3つの要素を整えることが、そのまま口コミの中身になります。辞めた人が悪く言わない職場は、それだけで採用が楽になります。

小規模事業者の採用は、短期的には求人票と写真と経路で動き、長期的には職場そのもので動く。この二段構えで考えるのが現実的です。

採用の進め方そのものを相談したい方向けに、大阪の採用セミナー講座も開いています。

求人票で書くこと、書かないこと

ここまでの話を、求人票の書き方に落とします。

よくある書き方言い換え
アットホームな職場ですスタッフ4名で、昼は全員で休憩を取っています
シフト相談可学校行事の日は振替で対応しています
駅から徒歩5分駅から徒歩5分、自転車通勤も可、駐車場あり
やりがいのある仕事担当した案件を最後まで任せます
未経験歓迎入社後3か月は先輩が同行します

左側は意味がない言葉ではありません。ただ、どの会社も同じことを書いているので、読む側にとって差が見えません。右側のように具体にすると、その会社の情報になります。

書かないほうがいいのは、実際と違うことです。応募が増えても、入社後に違うと分かれば辞めます。採用の回数が増えるだけで、何も良くなりません。

よくある質問

採用の相談でよく出る質問をまとめました。

Q: 給与を上げられない場合、本当に応募は来ますか?

A: 条件で絞り込まれる媒体では厳しいままです。可能性があるのは、条件以外の情報が見える場所です。

自社サイトの採用ページ、SNS、知り合いからの紹介、地域の掲示。この経路なら、立地や融通や雰囲気が先に伝わります。媒体だけに頼っている状態なら、経路を増やすところから考えてみてください。

Q: 写真を載せるのは恥ずかしいのですが、効果はそんなに違いますか?

A: 検証データを持っているわけではないので断定はできません。

ただ、求職者が一番不安なのは中が見えないことなので、見える情報が増えれば判断しやすくなるとは言えます。顔を出す必要はありません。作業中の手元や、職場の様子だけでも情報量は上がります。

Q: 「アットホーム」と書くのがだめなら、人間関係の良さはどう伝えればいいですか?

A: 状態を書かず、事実を書く形にします。昼休みを全員で取っている、月に1回みんなで食事に行く、勤続年数が長い人が何人いる。

こういう事実があれば、読む側が自分で判断できます。評価の言葉を自分で書くと、どうしても信用されません。

Q: 離職率を下げる話は分かりますが、今すぐ人が必要です。

A: 急ぎの場合は、紹介から当たるのが一番早いです。媒体に出すより反応が速く、費用もかかりません。

今いる人に声をかけてもらうこと、取引先に聞いてみること。この2つで動かない場合は、条件のどこかを一時的に動かす判断になります。

Q: 小さい会社だと、そもそも応募者から信用されないのではないですか?

A: 規模そのものより、情報が少ないことが不安につながります。何をしている会社か、誰がいるのか、入ったらどうなるのか。

これが分からないと応募されません。会社の規模は変えられませんが、情報の量は増やせます。

Q: 求人媒体はどれを使うべきですか?

A: 職種と地域で変わるので、ここで断定はできません。判断の目安として、同じ条件の求人がその媒体にたくさん並んでいるなら、条件で負ける可能性が高い場所だと考えてください。

地域に密着した媒体や、同業が使っていない経路なら比較されにくくなります。

Q: 応募はあるのに、面接に来ません。

A: 応募から面接までの間に時間がかかっていないか確認してください。求職者は何社か同時に応募しているので、返信が3日後になると他社で決まっています。

当日か翌日に連絡できる体制があるかどうかで、面接に進む率が変わります。あわせて、連絡手段も見てください。電話だけにしていると、日中に出られない人は応募をためらいます。

メールやSNSで日程を決められるようにしておくと面接する人が増えます。

まとめ

応募が来ない状態を抜けるには、2つの時間軸で考える必要があります。

今日から変えられるのは、見せ方です。条件表に載らない3つの要素を、具体的な事実として書く。立地なら駐車場や通勤手段まで、融通なら実際にどう対応しているか、人間関係なら評価ではなく事実を。

そこに写真を足す。整えすぎず、人がいる気配のあるものを選ぶ。

半年から先で変わってくるのが、職場そのものです。立地は動かせませんが、時間の融通と人間関係は運用の問題なので改善できます。

この2つが整うと辞める人が減り、採用の回数が減ります。回数が減れば1回に使える予算が増え、給与も上げやすくなる。

最初に書いたとおり、応募が来ない根本の原因は給与と環境です。そこから逃げる方法はありません。ただ、給与の数字で大手と並べられる土俵から降りて、条件表に載らない部分で選ばれる会社になる道はあります。従業員が数名であることは、不利ではありません。

つちや たけし
1,000社以上の店舗集客と会社集客をサポートしてきたWebマーケティングプランナー。複数のYouTubeチャンネル運営経験を持ち、複数のSNSやサイトを運営、実践的なマーケティング戦略の立案・実行を得意とする。「理論より実践」をモットーに、現場で使える具体的なノウハウを提供している。
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