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服を生かし、未来へつなぐ | 洋服のお直し・リメイク作家 千穂さんインタビュー 子供服デザイナーから「SEN」へ続くものづくりの軌跡

つちや たけし
1,000社以上の店舗集客と会社集客をサポートしてきたWebマーケティングプランナー。複数のYouTubeチャンネル運営経験を持ち、複数のSNSやサイトを運営、実践的なマーケティング戦略の立案・実行を得意とする。「理論より実践」をモットーに、現場で使える具体的なノウハウを提供している。

子供服デザイナーからロンドンへ、古着と着物を生かす「SEN」のものづくり

服を直すことは、ただサイズを合わせたり、傷んだ部分を補修したりするだけではありません。そこには、その服を選んだ人の思いや、これまで過ごしてきた時間を、もう一度つないでいく仕事があります。

「SEN」で活動する千穂さんは、子供服のデザイナー、ロンドンでのヴィンテージリメイク、お直し屋での経験を重ねながら、リフォームやリメイクの仕事に向き合ってきました。現在は、着物や古着を新しい服へと生まれ変わらせる仕事をはじめ、一人ひとりの相談に合わせた洋服のお直しにも取り組んでいます。

新しいものを作り続けるのではなく、今あるものを生かし、直しながら長く使っていく。千穂さんの仕事には、服への愛情と、これからのものづくりに対する静かな意志があります。

今回は、これまでの歩みや、ロンドンでの経験、SENを始めたきっかけ、そしてサステナブルな服づくりへの思いについて、じっくりお話を伺いました。

目次

個人で仕事を始めたきっかけ

つちや:個人で仕事を始めたきっかけって、何かあったんですか?

千穂:直前までは、都内の家族経営のお直し屋さんで働いていました。店長もやっていて、チェーン店と違って、接客から作業まで全部自分たちでやる会社だったんです。

つちや:全部まかせられてる笑

千穂:そうですね。接客するうちに、会社やお店があるから来てくれるお客さんではなくて、「自分についてくれるお客さんっているのかな」と思うようになったんです。

そんな時、コロナにかかって、2週間くらい仕事を休みました。それをきっかけに、ココナラへ登録してみたんです。

つちや:なるほど、自分でお客さんを集められるか試してみたと。

千穂:そう。最初は副業のような形でしたが、名古屋や沖縄など、遠方の方からも依頼が来て。「意外と需要があるんだ!」って分かりました笑

子供服デザイナーとしての原点

つちや:お直しの仕事をする前は、何をしてたんですか?

千穂:服飾の専門学校に通っていました。授業で子供服を作った時に、それがすごく楽しくて。卒業後は子供服メーカーに就職して、4〜5年ほどデザイナーをしていました。

つちや:最初から服を作る仕事をされてたんですね。

千穂:はい。ただ、アパレルデザイナーの仕事は、一般に思われている以上に細かくて、やることも多いんです。

さらに、子供服は、男の子、女の子、ベビー、小学校高学年向け、雑貨まであります。サイズも細かく分かれているので、アイテム数が多くて多くて。

つちや:子供服という一つの括りでも、かなり種類があるんですねー。

千穂:そうなんです。ワンシーズンに、一人で100型くらい作ることもありました。

つちや:100型?!

千穂:はい笑 でも、途中でボツになるものもあるので、それ以上のデザイン案を考えなければいけません。

当時はSNSもなかったので、雑誌を読んだり、セミナーに行ったり、お店へ足を運んだりして、ずっと市場をリサーチしていました。

つちや:楽しいけど、かなり激務ですね、それは。

千穂:やりがいはありました笑 でも、ずっと続ける働き方ではないかもしれないと思うようになりました。

一人旅をきっかけにロンドンへ

千穂:その頃から、一度は海外に住んでみたいと思っていたんです。

たまたまロンドンオリンピックをテレビで見て、「ロンドンへ行ってみよう!」と思って、一人旅をしました。

つちや:なるほど笑

千穂:一人だったので、何でも自分でやらなければいけなかったんですけど、実際に行ってみたら、「意外と住めるかもしれない」と思って。

つちや:住んでみたいという気持ちが生まれた?

千穂:そう。それでワーキングホリデーを調べました。イギリスのビザは抽選倍率が高くて、一度落ちたんですが、次に運よく当たったんです。

ちょうど、転職するか、海外へ行くか迷っていた時期だったので、「もう行こう!」と決めました。

ロンドンで出会ったヴィンテージリメイク

つちや:ロンドンでは、どんな仕事をされてたんですか?

千穂:言葉が十分に通じない中で、自分に何ができるだろうと考えた時に、「服を作ることならできる」と思ったんです。

そこで、ヴィンテージのリメイクをしているブランドのアトリエを見つけて、働かせてもらいました。

つちや:すごいなーロンドンのブランドで働くなんて!

千穂:ワーキングホリデーは2年間で、渡英して半年後くらいにそのブランドを見つけたので、1年半ほど働きました。

そこでは、価値のあるヨーロッパのアンティークやヴィンテージ古着を集めて、修理したり、解体したりして、新しいジャケットやシャツに作り変えていました。

パリでも展示会のような形で発表していて、そのブランドが動き始めた時期に手伝えたんです。

つちや:実際に手を動かして、一点ずつ作る仕事だったんですね。

千穂:そう、それがすごく楽しかったです!日本へ帰る時も、アパレルに戻るか迷ったんですが、やっぱり手を動かす仕事がしたいと思いました。

日本で一から学んだ「お直し」の技術

千穂:地元は北陸なんですが、服に関わる仕事があまり多くありません。お直し屋さんも、商業施設に入っているチェーン店が中心でした。

せっかくなら、面白い服に触れられて、リメイクも学べる場所がいいと思って、東京で未経験から教えてくれるお直し屋さんを探しました。

つちや:服を作る経験はあっても、お直しは未経験という感じなんですか?

千穂:そうなんです。パンツの丈詰めもしたことがありませんでした笑

破れた部分を直したり、洋服を作り変えたりすることはできましたが、日本のお直しには独自の技術があります。

つちや:はじめて知りました!

千穂:日本のお直しは、すごく丁寧です。ミリ単位を求められる場合もありますし、スーツの着方も会社の身だしなみのルールに合わせて調整することもあります。

つちや:ただサイズを変えるだけじゃなく、その人がどう着るか?まで考えるんですね。

千穂:そうなんです。

着物を現代の服によみがえらせる

つちや:お直し屋さんでは、リフォームの依頼が多いのですか?

千穂:はい。実際に働いてみると、サイズ直しが中心で、形を大きく変えるリメイクはあまりありませんでした。でも私は、やっぱりリメイクもやりたいと思っていました。

そんな時、ウェブで着物リメイクの事業を始めた人と知り合いました。「服を作れませんか?」と声をかけてもらったんです。

つちや:そこから着物のリメイクがはじまるんですね。

千穂:はい、お店へ行って話をうかがった時に、「古いものには価値がある」「一点物の服を作りたい」という思いを聞きました。

日本中の家のタンスには、今も着られていない着物がたくさん眠っているそうです。それを表に出して、現代でも着やすい服にしたいと。

つちや:タンスに眠っている着物を、今の生活で着られるものに変えると。

千穂:そうです。面白そうだと思って、業務委託で着物のリメイクを受けるようになりました。

屋号「SEN」に込めた由来

つちや:「SEN」という名前には、どんな由来があるんですか?

千穂:私の名前がチホで、「チ」の漢字が数字の「千」なんです。

つちや:千と千尋の「千(SEN)」ですね笑。

千穂:そうです(笑)。名前に強いこだわりがあったわけではないんですが、響きがよくて覚えやすいと思って。

自分の名前にも「千」が入っているので、そこから「SEN」という名前にしました。

つちや:「SEN」という事業の中で、お直しや着物リメイクなど、いろいろな仕事をされてる。

千穂:はい、以前働いていたお直し屋さんを手伝ったり、古着屋さんのリメイクを受けたりもしています。

お店を持たず、必要な場所へ向かう

千穂:最近は、服飾学校時代の友人が経営する洋服屋さんでも、お直しの相談を受けています。

私がお店へ行って、お客さんを採寸して、洋服を持ち帰って直し、完成したら届けるという形です。

つちや:お客さんが必要な場所へ向かうと。

千穂:自分のお店を持つのも一つの方法ですが、それだと、その地域の方しか来られません。

私は旅行も好きですし、自分が動くことも好きなので、需要がある場所へ出向いてサービスを提供するのもいいなと思っています。

つちや:近くにお直し屋さんがいない人も頼めますね。

千穂:そうなんです。お店へ行く時間がない方や、近くに相談できるお店がない方もいます。

それに、お直し屋さんへ持って行っても、何ができて何ができないのか分からず、その場で判断できない方も多いんです。

時間をかけて考える

千穂:私は、一度持ち帰って考えられるオンラインの相談が合っていると思っています。

その場ですぐに答えることもできますが、あとから「ほかの方法もあったかもしれない」と思うことがあるんです。

つちや:少し時間を置いた方が、いろいろな提案ができる?

千穂:はい、参考写真を探したり、金額を比べたりしてから返事ができます。

千穂:店頭のように、短時間で次々と判断する接客にも良さはあります。でも私は、一人ひとりに時間をかけて考える方が向いていると思います。

思いがけず広がったInstagramの動画

インスタグラムを見る

つちや:今はInstagramでも発信してるんですよね。反応はどうですか?

千穂:難しいですね。自分が伝えたいことを投稿しても、本当に見てほしい人へ届いているのか分からなくて。

ただ、一つだけ、すごく反応があったリールがあります。

つちや:どんな動画ですか?

千穂:肩をつまんで、数センチ詰めるための採寸をしている動画です。自分では、特別な内容だとは思っていませんでした。

つちや:それがずっと回ってる?笑

千穂:そうなんです笑 その動画が伸びた時に、依頼が一気に増えました。

動画と直接関係のない相談も多かったので、リールをきっかけに、ほかの投稿も見てもらえたのかなと思っています。

つちや:フォロワーも増えましたか?

千穂:少し増えました。でも、なぜその動画が伸びたのかが分からなくて、その先をどうすればいいのか迷っています笑

つちや:意外と、投稿した本人には理由が分からないもんで笑。同じような動画を何度か出してみるしかないことが多いですね。

長く着続けられる服を作りたい

つちや:将来的にやりたいことはありますか?

千穂:自分でデザインした服を作りたいです。デザイナーとお直し屋さんの両方を経験しているので、お直し屋さんの目線から、長く着続けられる服を作りたいと思っています。

つちや:最初から、直しながら着ることを考えた服なんや。

千穂:そうです。世の中には、すでに服が捨てるほどあります。だから、新しい生地を一から使うだけではなく、今ある服や素材をリメイクして、新しいものを作りたいんです。

さらに、それを直しながら長く着られる作りにしたい。

つちや:環境にも優しいし、作り手の思いもつながっていくね。

千穂:そうですね。直すこと自体も楽しいと思ってもらえたら嬉しいです。

サステナブルとビジネスを両立させる

千穂:今後は、サステナブルな方向へ、もっと事業を寄せていきたいと思っています。

リメイク専門の工場もありますが、やっぱり一点ずつ状態を見ながら、一人が一つの服に集中して作らないと、完成形が雑になってしまうことがあります。

つちや:社会や環境にいいことが、そのままビジネスになるのはすごくいいよね。

千穂:はい。一点ずつ違うところも、リメイクの面白さだと思います。

失われつつあるお直し技術を次の世代へ

千穂:お直しの仕事をしていて感じるのは、若い人にとって、お直し屋さんが就職先の選択肢に入っていないということです。

つちや:服飾の学生やったら、デザイナーやパタンナーを目指す人が多そう。

千穂:そうなんです。お直しの技術者は年配の方が多くて、60代以上の方もたくさんいます。

若い人が増えなければ、技術を教えられる人もいなくなってしまいます。

つちや:需要はあっても、技術を持つ人が減っているんですね。

つちやへの印象

つちや:最後に、僕のいいところと悪いところを聞いてるんです笑。率直な印象を教えてもらえますか?

千穂:いいところは、いつもニコニコしていて話しやすいところです。

つちや:ニコニコしてて、話しやすい?

千穂:はい。私は以前、関西に住んでいたこともあって、周りに関西の人が多かったんです。だから、関西弁で話してもらえると親しみやすいし、自然に話を引き出してくれる感じがあります。

つちや:なるほど笑

千穂:聞き上手だと思います。こちらが話しやすい雰囲気を作ってくれるので、気づいたらいろいろ話しています。

つちや:それは、うれしい笑

千穂:でも、ずっとニコニコしているから、「本当にそう思ってるのかな?」って少し分からなくなる時もあります笑

つちや:よく言われます、ロボットみたいって笑

千穂:悪いところというほどではないですけど、表情がずっと変わらないので、本音が見えにくい時はあるかもしれません。

つちや:いえいえ、機嫌が悪い時は顔に出ます笑

千穂:そうなんですね笑 ただ、全体としては、親しみやすくて話しやすいです。こちらの話を否定せずに聞いてくれるので、安心して話せる聞き手だと思います。

まとめ

千穂:私に教えてくれた方も、入社した当時は元気に何でも教えてくれました。でも、今は少しずつ年齢を重ねています。

だから、今教えてもらえることを全部吸収して、次は私が、やりたいという意思のある人へ教えていけたらと思っています。

つちや:後継者ですね。

千穂:はい。デザイナーやパタンナーだけでなく、お直しも服に関わる仕事の一つとして、若い人に考えてもらえるようになったら嬉しいです。

つちや:お直しでもきちんと仕事として続けられる、新しい職業の形を作る必要がありますね。

千穂:今のままだと、決して給料が高い仕事ではありません。だからこそ、技術の価値を上げて、今の時代に合ったビジネスモデルに変えていきたいです。

つちや:なるほど、がんばっていきましょう。本日はありがとうございました。

千穂:ありがとうございました。

プロフィール

千穂(ちほ)
洋服のお直し・リメイク作家/「SEN」代表

服飾専門学校を卒業後、子供服メーカーに就職し、デザイナーとして約4〜5年間勤務。市場調査から企画、デザイン、展示会に向けた商品制作まで幅広く経験し、ワンシーズンに約100型を手がける環境で、服づくりの基礎と発想力を培う。

その後、ワーキングホリデーでロンドンへ渡り、ヴィンテージやアンティークの古着をリメイクするブランドのアトリエに約1年半勤務。価値ある古い服を解体し、ジャケットやシャツなど新たな一着へと生まれ変わらせる仕事に携わる。帰国後は、より実践的な技術を身につけるため、都内のお直し屋に未経験から入社。丈詰めやサイズ調整、補修など、日本ならではの繊細なお直し技術を学び、店長として接客や店舗運営も経験した。

現在は屋号「SEN」で、洋服のサイズ直しやリフォーム、古着や着物のリメイクなどを行っている。オンラインで全国から相談を受けるほか、アパレルショップへ出向いて採寸やお直しを受け付けるなど、店舗を持たず、必要とされる場所へ足を運ぶ柔軟なスタイルで活動している。

デザイナーとお直し職人、両方の視点を生かし、今ある服や素材を新たな形へとつなぎ、直しながら長く着続けられる服づくりを目指す。今後は、自身がデザインするサステナブルな服の制作に加え、失われつつあるお直し技術を次世代へ伝えることにも取り組んでいきたいと考えている。

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つちや たけし
1,000社以上の店舗集客と会社集客をサポートしてきたWebマーケティングプランナー。複数のYouTubeチャンネル運営経験を持ち、複数のSNSやサイトを運営、実践的なマーケティング戦略の立案・実行を得意とする。「理論より実践」をモットーに、現場で使える具体的なノウハウを提供している。
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