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閑散期の売上対策、施策をやる前に、市場を広げないと埋まりません

つちや たけし
1,000社以上の店舗集客と会社集客をサポートしてきたWebマーケティングプランナー。複数のYouTubeチャンネル運営経験を持ち、複数のSNSやサイトを運営、実践的なマーケティング戦略の立案・実行を得意とする。「理論より実践」をモットーに、現場で使える具体的なノウハウを提供している。

毎年同じ月に売上が落ちる。そういう業種はいくつもあります。飲食店の2月と8月、工事関係の年末年始、観光業のオフシーズン。来るのが分かっているだけに、何か手を打たないと落ち着きません。

閑散期の対策を調べると、やることがたくさん出てきます。期間限定メニューを出す、クーポンを配る、スタッフ研修をする、店の中を直す、繁忙期にはできないサービスを試す。どれも間違いではありません。

ただ、全部に共通している前提があります。お客さんが来ることを前提にした施策だということです。期間限定メニューは来た人が頼むもので、クーポンは使う人がいて効きます。

閑散期は、その来る人が少ない期間です。来る人が少ないところに来た人向けの施策を足しても、効き方には上限があります。

この記事は、施策を増やす話ではありません。閑散期に何が起きているのかを先に見て、そこから打つ手を2つに絞ります。

目次

閑散期は、エリアの中のニーズが減っている期間です

何が起きているのかを言葉にします。閑散期というのは、同じエリアの中でそのニーズを持っている人が少なくなっている期間です。

飲食店の2月なら、外に食べに行きたい人が減ります。工事なら、年末年始に工事を頼みたい人が減ります。観光なら、その季節にそこへ行きたい人が減ります。

お客さんの質が落ちたわけでも、店の魅力が落ちたわけでもありません。欲しい人の数が、一時的に減っているだけです。

ここを押さえると、打つ手の性質が変わります。

少ない人数を取り合う方向に行くと、競合と同じことを始めます。同じエリアの同業も同じ時期に落ちているので、同じ時期に割引やキャンペーンを打ちます。結果として値段の勝負になり、売上は少し動いても利益は残りません。

やるべきなのは逆の方向です。取り合いに参加するのではなく、母数のほうを動かす。つまり認知を増やして、市場そのものを広げることになります。

言い換えると、閑散期の対策は閑散期の話ではありません。自分が届いている範囲の話です。届いている範囲が狭いままだと、ニーズが細る時期にそのまま売上が細ります。範囲が広ければ、どこかに残っているニーズで埋まります。

観光地の飲食店で考えると分かりやすくなります。観光客だけに向けて商売をしていると、客が来ない季節は手がありません。地元の人にも知られていれば、観光客が減る時期も地元の需要が残ります。同じ店でも、届いている相手の幅で閑散期の深さが変わります。

市場を広げる方向は2つです

認知を増やして市場を広げる、というのを具体的に分けると2つになります。

1つめは、エリアを広げること。今の商圏の外に、同じニーズを持っている人がいます。そこに届いていないなら、母数はまだ増やせます。

2つめは、同じ人に何度も来てもらうこと。1人のお客さんが年に1回しか来ないなら、2回来てもらえば売上は倍です。新しい人を探すより、すでに知っている人に動いてもらうほうが早い場合があります。

どちらも「来る人の数を増やす」話であって、「来た人に何を売るか」の話ではありません。閑散期の施策列挙と性質が違うのはここです。

この2つは同時にやる必要はありません。どちらが自分に向いているかは、次の2点で決まります。

商圏に余白があるか。今の集客範囲が狭く、少し広げれば届く人がいるなら、エリアを広げる側が効きます。配達や出張ができる業種、オンラインで完結する業種もこちら寄りです。

お客さんのリストがあるか。一度買った人の連絡先が残っていて、年に数回しか接点がないなら、頻度を上げる側が効きます。

両方ない場合は、リストを作るところから始めます。

エリアを広げるときに決めること

エリアを広げるというのは、地図の上で円を大きくするという意味ではありません。届け方を変えるという意味です。

店舗なら、来てもらえる距離には限界があります。そこで変えるのは、来てもらう以外の形です。配達を始める、発送に対応する、出張の範囲を広げる。来店が前提だった商品を、来店なしで買える形に変える。

サービス業なら、オンラインでの対応を増やすことで距離の制約が消えます。打ち合わせをオンラインにするだけで、商圏が県単位に変わる業種もあります。

そして広げたエリアに認知が要ります。知られていない場所では、商品がどれだけ良くても検索されません。ここで使うのが広告です。広告は配信するエリアを自分で決められるので、今の商圏の外側だけに出すこともできます。やり方は大阪のGoogle広告セミナー講座で扱っています。

注意点が1つあります。エリアを広げるときに、全国に向けて出してしまう人がいます。これはほぼ失敗します。配信範囲が広がるほど費用が増え、来る問い合わせは遠すぎて対応できないものが混ざります。

広げるのは、今の商圏の隣までです。隣の市、隣の区。そこで反応が出たらもう一つ隣に伸ばす。この順番のほうが無駄が出ません。

来る回数を増やすときに決めること

もう一方の手です。同じ人に何度も来てもらう方向を考えます。

最初に確かめるのは、自分の商品がそれに向いているかどうかです。一回買えば数年使うものだと、頻度を上げるのは難しくなります。飲食、美容、整体、消耗品、定期的な点検が要るもの。こういう商品なら頻度は動かせます。

向いている場合、やることは接点を切らさないことです。一度来た人が来なくなる理由は、不満より忘れることのほうが多い。半年連絡がなければ、たいてい忘れられます。

接点の作り方は手段を問いません。ハガキ、LINE、メール、電話。業種とお客さんの年齢層で向くものが違うので、自分の客層が普段使っているものを選びます。年配のお客さんが多い業種でLINEに統一すると、届かない人が出ます。

もう一つ効くのが、もう一度来る理由を作ることです。次回に使える何かを渡す。一緒に使うものを紹介する。来る頻度の目安を伝える。整体で「3週間後にもう一度見ておきましょう」と言うのは、これに当たります。

渡し方には人の心理が関わります。何かをもらうと返したくなる返報性、持っているものを手放したくない保有効果。この辺りの考え方はプレゼントで集客する時の効果的な心理法則とそのやり方にまとめています。

閑散期に始めても、その閑散期には間に合いません

ここが一番伝えたいところです。

認知を増やすのは時間がかかります。広告を出しても最初の数週間は反応が安定しません。接点を作り直しても、お客さんが動くのは次の来店サイクルが来たときです。

閑散期に入ってから動き始めると、効果が出るのは閑散期が終わったあとになります。繁忙期に仕込んで、閑散期に回収する。この順番でないと間に合いません。

繁忙期は忙しいので、仕込む手は軽いものに限ります。来店したお客さんの連絡先をもらう。次回に使えるものを渡す。広告の配信エリアを一段広げておく。どれも繁忙期の手が止まらない範囲でできます。

逆に、閑散期にやるべきなのは準備ではなく検証です。時間があるので、どの手が効いたかを数字で見られます。去年の同じ月と比べて、来た人数と、そのうちの再来店が何人だったか。ここを記録しておくと、次の繁忙期に何を仕込むかが決まります。

記録する項目は3つで足ります。来た人数、そのうち初めて来た人の数、そして前年の同じ月の数。これだけあれば、落ち幅が広がっているのか縮まっているのかが分かります。

落ち幅が縮まっていれば、やっている手は効いています。同じか広がっているなら、手の向きが合っていません。閑散期の売上は月によって振れるので、1年分では判断がつかないこともあります。2年続けて同じ方向に動いたら、そこで判断するほうが確実です。

値引きで埋めるのが一番危ない手です

閑散期にやってはいけないことを2つ挙げます。

1つは値引きで数を埋めることです。安くすれば人は少し増えます。ところがその増えた人は、安いときにだけ来る人になります。次の閑散期も値引きを待つようになり、繁忙期には来ません。同じエリアの同業も同じ時期に値引きをするので、割引の幅だけが年々広がります。

利益の面でも苦しくなります。閑散期は客数が少ないので、1件あたりの利益が減ると固定費を回収できません。売上の数字は埋まっても、手元に残るお金は減ります。

2つめは固定費を削ることです。人を減らす、広告を止める、営業活動を止める。目の前の支出は減りますが、閑散期に止めた広告は繁忙期の問い合わせを減らします。認知を増やすのが打つ手なのに、認知を作る支出を止めるのは逆向きです。

人の時間も同じです。閑散期に手が空くなら、その時間を次につながることに使うほうが得です。お客さんの記録を整える、連絡先のリストを作る、接客を見直す。費用は増えずに仕込みが進みます。

2つの手の比較

エリアを広げる来る回数を増やす
向いている条件商圏が狭い、配達や出張ができる、オンラインで完結する繰り返し買う商品、お客さんのリストがある
やること届け方を変える、広告の配信エリアを隣まで広げる接点を切らさない、もう一度来る理由を渡す
費用広告費がかかるほぼかからない
効果が出るまで1〜3か月次の来店サイクル
失敗しやすい点広げすぎて遠い問い合わせが増える連絡手段が客層と合っていない

費用をかけずに始めるなら、回数を増やす側が先です。商品が繰り返し買うものでないなら、エリアを広げる側しか残りません。

よくある質問

閑散期の相談で実際に聞かれることを並べます。

Q: 毎年決まった月に落ちます。これはもう仕方ないのでしょうか。

A: 完全に平らにするのは難しいです。ただ落ち幅は変えられます。前年の同じ月と比べて落ち幅が縮まっているかどうかで判断してください。目標を「繁忙期と同じ売上」に置くと達成できないので、「去年の2月より1割多い」のような置き方にすると続きます。

Q: エリアを広げるのと回数を増やすのを同時にやってもいいですか。

A: 人手があるなら構いません。ただ小さい会社なら片方からにしてください。同時に始めると、売上が動いたときにどちらが効いたのか分からなくなります。費用のかからない回数側を先にやって、そこが回り始めてからエリアに手を出す流れが安全です。

Q: 広告の配信エリアは、どこまで広げるのが適切ですか。

A: 今お客さんが来ている一番遠い場所の、さらに外側までです。顧客リストの住所を見れば、実際に来ている範囲が分かります。その縁から隣の市までで試して、反応があれば伸ばす。最初から府県単位にすると費用だけが増えます。

Q: リストを作りたいのですが、連絡先を聞くと嫌がられませんか。

A: 聞き方で変わります。「案内を送ってもいいですか」と理由を先に言うと通りやすくなります。次回使えるものを渡す場面で一緒に聞くのも自然です。全員から取る必要はなく、受け取ってくれる人だけで十分です。

Q: 閑散期にキャンペーンをやるのは意味がないということですか。

A: 無意味ではありません。ただキャンペーンは認知がある人に効く手なので、知られていない相手には届きません。認知を増やす手と組み合わせたときに効いてきます。順番としては、母数を増やす手が先です。

Q: うちは一回買えば10年使う商品です。回数を増やすのは無理ですよね。

A: 本体の買い替えは無理でも、周辺で接点が作れる業種が多いです。点検、修理、消耗部品、付属品。本体を売った人のリストが残っているなら、そこへの案内が一番確率の高い営業先になります。

Q: 去年の数字を記録していません。何から始めますか。

A: 今年の閑散期から取ってください。月ごとの客数と、新規と再来店の内訳。この2つだけで翌年には比較ができます。細かい分析は後からでも足せるので、まず数えるところから始めるほうが続きます。

Q: 繁忙期が忙しすぎて仕込む余裕がありません。

A: その場合は1つだけに絞ります。来たお客さんの連絡先をもらう、これだけでも翌年の閑散期に使える資産になります。新しい仕組みを作ろうとすると繁忙期には回らないので、既存の作業に1動作足すだけの形にしてください。

まとめ

閑散期の対策は、自分がどちらのタイプかで分かれます。読んだあとに何をするかを、2つに整理します。

商圏が狭い人、来店が前提の商品を扱っている人。この場合はエリアを広げる側です。まず顧客リストの住所を見て、実際に来ている一番遠い場所を確認してください。その外側に向けて広告を出す。全国に広げず、隣の市までで試す。効果が出るまで1〜3か月かかるので、閑散期の3か月前には動き出している必要があります。

繰り返し買う商品を扱っていて、お客さんの顔が分かる人。この場合は回数を増やす側です。やることは接点を切らさないことと、もう一度来る理由を渡すこと。費用はほとんどかからないので、今日からできます。

どちらのタイプでも、閑散期に入ってから動いてその閑散期を埋めるのは無理です。認知が広がるには時間がかかります。仕込むのは繁忙期で、閑散期にやるのは検証のほう。

そして値引きで数を埋めるのは、どちらのタイプでも選ばないでください。安いときにだけ来る人が増え、来年はもっと深く割らないと同じ数が埋まらなくなります。

つちや たけし
1,000社以上の店舗集客と会社集客をサポートしてきたWebマーケティングプランナー。複数のYouTubeチャンネル運営経験を持ち、複数のSNSやサイトを運営、実践的なマーケティング戦略の立案・実行を得意とする。「理論より実践」をモットーに、現場で使える具体的なノウハウを提供している。
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