
「LPを作ったのに全然注文が来ない…」
そんな悩みを抱えている経営者の方、多いですよね。その原因の多くは「広告を出さない」「コンテンツを作らない」という致命的な選択にあります。
今回は、広告も使わず、コンテンツも作らないという「集客の空白地帯」に陥ってしまう企業の実態と、その解決策について率直にお話しします。
「広告なし・コンテンツなし」という最悪のパターン
ここでは、広告なし・コンテンツなしというパターンについてご紹介します。
LPを作っただけで満足してしまうパターン
確かに、広告を出せばコンテンツを作らなくてもLP運用は問題ありません。リスティング広告やディスプレイ広告やSNS広告、YouTube広告などで直接LPに誘導すれば、それなりの成果は見込めます。これはこちらの記事やこちらの記事でも詳しく解説した通りです。
しかし、現場で頻繁に遭遇するのは、広告も出さずに、コンテンツも作らないという事業者です。「LPさえ作れば何とかなる」と思い込んでいるケースが驚くほど多いですね。
制作会社に50万円、80万円と支払って立派なLPを作りました。デザインも洗練されていて、コピーも魅力的です。さあ、これで売上が上がるぞ…と期待していたものの、1ヶ月経っても、2ヶ月経っても何も起こらない。アクセスはほぼゼロ。当然、注文も来ません。
流入経路を全く考えていない現実
こういった事業者に「どうやってユーザーをLPに呼ぶつもりですか?」と聞くと、多くの場合、明確な答えが返ってきません。
「そのうち見てくれるだろう」
「口コミで広がるだろう」
「ドメインパワーで上がってくるだろう」
こんな根拠のない希望的観測だけで、数十万円の投資をしているのです。「流入経路がない」というのはLP失敗の典型的なパターンです。
LPというのは、ユーザーが訪問して初めて機能します。どんなに優れたセールスメッセージが書かれていても、誰も見なければ意味がありません。これは商店街の一等地に店を構えるのと、山奥の誰も通らない道に店を出すくらいの違いがあります。
部下に丸投げして失敗するパターン
もう一つよくあるのが、部下にコンテンツ作成を指示するものの、適切な指導をしないというケースです。
「コンテンツを作って集客しろ」と経営者は指示します。しかし、具体的な方向性も示さず、ノウハウも教えず、ただ「やれ」と言うだけです。結果として、部下は手探りで以下のような状態に陥ります。
よくある失敗パターン
- 適当に作ってしまう:とりあえず社内の情報を並べただけの薄いコンテンツ。誰の課題も解決しない、誰の興味も引かない内容になっている。
- 効果的な作り方が分からない:SEOの基本も知らず、キーワード選定もせず、ユーザーの検索意図も考えずに作成。結果として検索エンジンにも評価されず、誰にも見られない。
- 量だけ追求してしまう:「とにかく100記事書け」と言われ、質より量で勝負。しかし中身のないコンテンツをいくら量産しても、検索順位は上がらず、LPへの流入も増えない。
そして数ヶ月後、経営者は「コンテンツ作ったのに全然効果がない」と嘆くのです。しかし、効果が出ないのは当然です。戦略もノウハウもなく作ったコンテンツが成果を生むはずがないのです。
コンテンツ制作の失敗事例を見ても、「専門的な知識がなく始めてしまった」「社内のリソースがない」というのは典型的な失敗原因として挙げられています。
コンテンツ制作を甘く見る経営者の問題
なぜこのような状況が生まれるのか。根本的な原因は、事業者自身がネットのことが分かっていないからです。
デジタルマーケティングの世界では、以下のような専門知識が必要です。
コンテンツマーケティングに必要な知識
- SEOの基本原則(キーワード選定、内部対策、外部対策)
- ユーザーの検索意図の理解
- コンテンツの構成方法(見出し設計、情報の階層化)
- ライティングスキル(読みやすい文章、説得力のある表現)
- 分析ツールの使い方(Google Analytics、Search Console)
- 競合分析の方法
- CVRを高めるLP誘導の導線設計
これらの知識がない状態で「コンテンツを作れ」と指示するのは、料理の知識がない人に「フレンチのフルコースを作れ」と言うようなものです。できるわけがありません。
しかし、多くの経営者は「ブログくらい誰でも書けるだろう」と軽く考えています。この認識のギャップが、コンテンツマーケティングの失敗を生み出しているのです。
外注すれば高額、内製すればスキル不足
コンテンツ制作には、基本的に2つの選択肢があります。
選択肢1:外注する
コンテンツ制作を専門業者に外注すれば、質の高いコンテンツが手に入ります。SEOの知識もあり、ライティングスキルもあり、競合分析もしっかり行ってくれます。
しかし、コストは高額です。
コンテンツ外注の相場
- 1記事(3,000〜5,000文字):1万円〜3万円
- 月10記事制作の場合:10万円〜30万円
- SEO戦略設計費用:別途10万円〜50万円
これを6ヶ月、1年と継続するとなると、数百万円の投資になります。しかも、成果が出るまでには3ヶ月から6ヶ月はかかります。その間、売上はほぼゼロです。
多くの中小企業にとって、この投資は重すぎます。だから「内製しよう」となるわけです。
選択肢2:自社で制作する(内製)
自社でコンテンツを作れば、外注費はかかりません。一見、コストを抑えられるように見えます。
しかし、現実はそう甘くありません。自社にノウハウがないと、以下のような問題が発生します:
内製の問題点
- 時間がかかる:慣れていない社員が1記事書くのに丸1日、2日かかることも
- 質が低い:SEOの知識がないため、検索エンジンに評価されない
- 継続できない:本業の業務に追われて、コンテンツ作成が後回しになる
- 改善できない:データを分析する知識がなく、PDCAが回らない
結果として、数ヶ月かけて作ったコンテンツが全く成果を生まない。時間という貴重なリソースを無駄にしただけ、という状況になってしまうのです。
「安く済む」という幻想
「自社で作れば安く済む」というのは幻想です。社員の人件費、作業時間、機会損失を考えれば、決して安くはありません。
例えば、月給30万円の社員が月に20時間をコンテンツ制作に費やしたとします。時給換算で約1,900円とすると、月に38,000円分の人件費がかかっています。これで質の低いコンテンツしか作れないなら、外注した方がマシという場合もあるのです。
しかし、多くの経営者は「社員にやらせれば追加コストはゼロ」と考えてしまいます。この認識が、コンテンツマーケティングの失敗につながっているのです。
「それなら広告を使えばいい」という現実的な解決策
ここまで読んで、「じゃあどうすればいいんだ」と思われたかもしれません。答えはシンプルです。
広告予算を確保して、広告でLPを回す方が得です。
広告なら即効性があります。配信開始から数時間で流入が始まり、早ければその日のうちにコンバージョンが発生します。コンテンツマーケティングのように3ヶ月、6ヶ月待つ必要はありません。
コンバージョン率も高いです。広告経由のユーザーは購買意欲が高く、CVRは3%から5%程度です。コンテンツSEO経由のCVR(1%から3%)と比較しても明らかに高い数値です。
予測も立てやすいです。「予算30万円なら、クリック数はこれくらい、コンバージョン数はこれくらい」という計算ができます。コンテンツSEOのような不確実性はありません。
なぜ広告を使いたがらないのか
それでも多くの事業者は「広告に予算をかけたくない」と言います。理由はいくつかあります。
広告を避ける理由
- 継続的にコストがかかることへの抵抗感
- 広告運用の知識がなく、不安
- 「広告費は無駄」という思い込み
- 過去に広告で失敗した経験がある
確かに、広告には継続的なコストがかかります。しかし、成果が出ないコンテンツに時間とお金を浪費するよりは、はるかにマシです。
広告なら、データがリアルタイムで見えます。「この広告文はクリック率が高い」「このターゲティングはCVRが低い」といった情報が即座に分かります。そして、すぐに改善できます。
コンテンツSEOでは、3ヶ月〜半年経ってようやく「これは失敗だった」と分かります。その間の時間とコストは取り返せません。
「LPを作ればなんとかなる」という幻想を捨てる
多くの事業者が陥る最大の罠は、「LPを作れば何とかなる」という幻想です。
LPは確かに重要です。優れたLPは、訪問したユーザーを顧客に変える力を持っています。しかし、それはあくまでも「ユーザーが訪問したら」の話です。
誰も訪問しないLPは、どんなに優れていても無価値です。これは絶対的な真実です。
LPは「受け皿」であって「集客ツール」ではない
LPの役割を正しく理解する必要があります。LPは集客の受け皿であって、集客ツールそのものではありません。
集客ツールは別に用意する必要があります。それが広告であり、コンテンツSEOであり、SNSマーケティングなのです。
正しいLP運用の考え方
役割 | ツール | 目的 |
---|---|---|
集客 | 広告、コンテンツ、SNS | ユーザーをLPに呼ぶ |
転換 | LP | 訪問者を顧客に変える |
育成 | メルマガ、CRM | 顧客をリピーターに変える |
多くの失敗事例では、「転換」の部分だけ(LP)を用意して、「集客」の部分を軽視しています。これでは成果が出るはずがありません。
「誰かが売ってくれる」という依存
稀に「LPを作ったら、営業担当が使ってくれるだろう」「代理店が紹介してくれるだろう」と期待している経営者もいます。
確かに、営業担当がLPを活用して商談を進める、代理店がLPを紹介先に送るといった使い方は可能です。この場合、LPは営業ツールとして機能します。
しかし、それでも限界があります。営業担当や代理店が積極的に動いてくれればいいですが、そうでない場合、LPはただ存在するだけで終わります。
能動的な集客施策がない限り、LPは機能しません。
コンテンツを作るなら「本気」で取り組む
それでも「広告予算はどうしても確保できない」「長期的にはコンテンツで集客したい」という場合もあるでしょう。その場合、中途半端な取り組みは避けるべきです。
コンテンツマーケティングで成果を出すための条件
コンテンツマーケティングで成果を出すには、以下の条件を満たす必要があります。
成功するための5つの条件
- 専門知識の習得
- SEOの基礎から応用まで学ぶ
- 最低でも半年は勉強期間を設ける
- 実践しながら学ぶ姿勢
- 十分なリソース確保
- 週に最低20時間はコンテンツ制作に充てる
- 1年間は継続する覚悟
- 分析と改善のための時間も確保
- 明確な戦略設計
- ターゲットキーワードの選定
- 競合分析の実施
- コンテンツカレンダーの作成
- KPIの設定
- 質の高いコンテンツ
- ユーザーの課題を真に解決する内容
- オリジナリティのある情報
- 読みやすい文章と構成
- 適切な画像や図表の使用
- 継続的な改善
- アクセス解析の定期的な実施
- 順位チェックと改善
- コンテンツの更新とリライト
- PDCAサイクルの実行
これらの条件を満たせない場合、コンテンツマーケティングで成果を出すのは難しいです。中途半端に取り組むくらいなら、最初から広告を使った方が確実です。
外注する場合の正しい発注方法
どうしても外注する場合は、以下のポイントを押さえてください。
外注時のチェックポイント
- 実績を確認する:過去の成功事例、順位改善実績を見せてもらう
- 戦略を説明してもらう:「とりあえず記事を書く」ではなく、明確な戦略があるか
- KPIを設定する:アクセス数、順位、CV数などの目標を明確にする
- 定期的なレポート:月次でのレポートと改善提案があるか
- 契約期間:最低6ヶ月は継続する前提で契約する
安いだけの業者に発注すると、質の低いコンテンツが納品されて終わりです。しっかりとした業者を選び、長期的な視点で取り組む必要があります。
現実的な選択肢を冷静に比較する
ここで、現実的な選択肢を整理してみましょう。
選択肢A:広告を使う(最も現実的)
- 初期投資:LP制作費10〜20万円
- 運用コスト:月20〜30万円
- 成果が出るまで:数日〜1ヶ月
- メリット:即効性、予測可能性、高いCVR
- デメリット:継続的なコスト
選択肢B:本気でコンテンツを作る(長期戦)
- 初期投資:LP制作費10〜20万円
- 運用コスト:外注なら月30〜100万円、内製なら人件費
- 成果が出るまで:3〜6ヶ月以上
- メリット:長期的な資産、広告費不要(将来的に)
- デメリット:時間がかかる、不確実性、高度なスキル必要
選択肢C:何もしない(最悪)
- 初期投資:LP制作費20〜50万円
- 運用コスト:ゼロ
- 成果が出るまで:永遠に出ない
- メリット:なし
- デメリット:制作費が完全に無駄になる
冷静に考えれば、選択肢Cは論外です。しかし、現実にはこの選択をしてしまっている事業者が驚くほど多いのです。
予算がない場合の現実的な対応
「広告予算もない、コンテンツ制作の予算もない」という場合、率直に言ってLPをそもそも作るべきではありません。
厳しい言い方ですが、これが現実です。集客手段がないのにLPを作っても、お金を捨てるだけです。
その予算があるなら、まずは以下のような基本的な施策に投資すべきです。
予算がない場合の優先順位
- 既存のウェブサイト改善:今あるサイトのCVRを上げる
- 無料でできるSNS運用:地道だが継続すれば効果はある
- 営業活動の強化:デジタルよりもアナログの方が効果的な場合もある
- 既存顧客へのアプローチ:リピート率を上げる方がコスパが良い
LPは、ある程度の予算とリソースが確保できてから取り組むべき施策です。
「コンテンツなし」なら「広告あり」が絶対条件
コンテンツを作らないなら、広告は絶対に必要です。 広告も使わず、コンテンツも作らないなら、LPを作るべきではありません。
これが現実です。
LPを作ることは、ゴールではなくスタートです。作った後に、どうやってユーザーを呼ぶか、どうやって成果を出すか、そこが本当の勝負なのです。
今すぐ確認すべきこと
- 流入経路は確保できているか?
- 広告予算があるか
- コンテンツ制作のリソースとノウハウがあるか
- その他の集客手段があるか
- 中途半端な取り組みになっていないか?
- 部下に丸投げしていないか
- 戦略なくコンテンツを作らせていないか
- 成果が出ない施策を惰性で続けていないか
- 現実的な選択ができているか?
- 予算とリソースに見合った施策か
- 成果が出るまでの期間を理解しているか
- 経営判断として正しい優先順位か
「やってみてよかったもの」だけ提供するのが私の信条です。だからこそ、厳しいことも言います。
コンテンツも作らず、広告も使わずにLPを作って「注文が来ない」と嘆くのは、もうやめましょう。現実を直視して、正しい選択をしてください。
あなたのビジネスを本気で成功させたいなら、今日から行動を変えましょう。