
SEOの記事を読むと、だいたい同じことが書いてあります。キーワードを選ぶ、タイトルに入れる、良い記事を書く、被リンクを集める。手順としては正しいのですが、これをそのままやって結果が出る人と出ない人がいます。
分かれ目はサイトの力です。立ち上げたばかりの個人事業主のサイトと、何年も運営されている会社のサイトでは、同じキーワードを狙っても勝負になりません。だから個人事業主には、個人事業主向けの入り方があります。
この記事では、サイトの力が弱い前提で何から手をつけるかをお伝えします。そして、アクセスが集まっても売上にならない人がつまずいている部分も書きます。そこは他のSEO記事であまり触れられていない話です。
個人事業主のサイトは、ドメインのパワーが弱い前提で考えます
まず現実の話をします。
検索の順位は、記事の内容だけで決まりません。そのサイト全体がどれくらい信頼されているか、という評価も影響します。これをドメインのパワーと呼びます。長く運営されていて、他のサイトからリンクされていて、情報量が多いサイトは強い評価を持っています。
立ち上げて数か月の個人事業主のサイトは、ここが弱いです。これは記事の質とは別の問題で、努力でどうにかなるものでもありません。時間が必要な部分です。
だから、強いサイトが並んでいるキーワードを正面から狙っても上がりません。「ホームページ制作」のような大きい言葉で1ページ目を取ろうとしても、大手のメディアと比較サイトが並んでいて入る余地がない。ここで何か月か消耗して、SEOは効かないと結論を出してしまう人が多いです。
効かないのではなく、入る場所を間違えているだけです。
BtoBならロングテールを強化してください
では何を狙うか。ロングテールです。
ロングテールとは、検索される回数は少ないけれど、内容が具体的なキーワードのことです。大きい言葉ではなく、言葉を組み合わせた細かい検索です。
たとえば「ホームページ制作」ではなく「開業前 ホームページ いつ作る」のような形です。月に数十回しか検索されないかもしれません。でも競合が少ないので、サイトの力が弱くても上がります。
とくにBtoB、つまり法人を相手にしている場合は、ロングテールの強化が効きます。法人の担当者は何かを導入するとき、具体的な条件で検索するからです。業種、規模、予算、導入時期、組み合わせたいツール名。こういう条件を入れて検索します。
そしてここが大事なところですが、ロングテールで集まるアクセスは質が高いです。
「ホームページ制作」で検索している人は、何を知りたいのかまだ曖昧です。相場を知りたいだけの人も、勉強中の人も、同業者も混ざっています。
一方「開業前 ホームページ いつ作る」で検索している人は、開業を控えていて、ホームページを作る前提で時期を迷っている人です。
人数は少なくても、問い合わせにつながる確率が違います。だから最初はロングテールで、アクセスの質の高いものを集めるのが良いのです。
集めたアクセスに、当てる商品が足りていますか
ここから、他のSEO記事であまり書かれていない話をします。
ロングテールでアクセスが集まり始めると、次の壁が来ます。アクセスはあるのに売上にならない、という状態です。
原因はたいてい、集まったアクセスに当てる商品がないことです。
ロングテールは具体的なキーワードの集まりです。つまり、いろいろな悩みを持った人が、別々の入口から入ってきます。
開業前の人、リニューアルを考えている人、集客で困っている人、人が採れない人。入口が10種類あるなら、来る人の状態も10種類あります。
ところが用意している商品が1つしかないと、その1つに合う人だけが客になります。残りは読んで帰ります。せっかく質の高いアクセスを集めたのに、受け皿がない状態です。
だから、できればロングテールで集めたアクセスに売れる商品を掲載したいです。そのためには、たくさんの種類の商品を掲載したいところです。
| 入口(ロングテール) | 来る人の状態 | 必要な商品 |
|---|---|---|
| 開業前 ホームページ いつ作る | まだ何も始めていない | 相談、簡易プラン |
| ホームページ リニューアル 判断 | 今あるものに不満がある | 診断、部分改修 |
| 集客 外注 選び方 | 業者を探している | 本体サービス |
| 求人 応募が来ない | 採用で困っている | 採用向けの別サービス |
アクセスの入口を増やしたら、商品の種類も増やす。この2つは対で動かすものです。
商品を増やすなら、無形のものから考えます
商品を増やしてくださいと言うと、たいてい止まります。新しい商品を作るのは大変だからです。
そこで提案したいのが、無形の商品をたくさん考えてみることです。
有形の商品、つまり物を増やすのはコストがかかります。仕入れが必要で、在庫を持つことになり、置く場所も要ります。売れなければ在庫が残ります。だから気軽に種類を増やせません。
無形の商品はそこが違います。相談、診断、講座、サポート、代行、資料、レポート。これらは在庫を持たずに種類を増やせます。自分の時間と知識で作れるからです。
具体的にはこういう形です。本体のサービスの前に置く入口の商品、たとえば単発の相談や初回診断。本体の後ろに置く商品、たとえば運用のサポートや定期的な見直し。本体の横に置く商品、たとえば自分でやる人向けの講座や、部分だけを請け負う代行。
この3方向に無形商品を並べると、同じ本業のまま入口の数が増えます。そしてロングテールで来た人のどこかに当たるようになります。
注意点を1つだけ。増やしすぎて自分が回らなくなると本末転倒です。提供に時間がかかるものばかり並べると、受注が重なった時点で止まります。手間の軽いものと重いものを混ぜてください。
どのツールで作るかが、読まれるかどうかを左右します
ここも見落とされがちな部分です。ホームページを何で作るかによって、検索エンジンやAIから読まれやすさが変わります。
おすすめはWordPressです。自社サイトとしてWordPressで作れば、検索にもAIにも載りやすくなります。AIO、つまりAIが作る検索の要約に引用される形にもなります。
理由は、WordPressが最初からHTMLの形で中身を書き出すからです。訪問者が見る文章が、そのままファイルの中に入っている。だからクローラーが素直に読み取れます。
一方、注意が必要なツールもあります。
STUDIOで作ると、AIに読まれない場合があります。これは実際に調べた結果です。STUDIOで作られたサイトのファイルを取得して中身を見たところ、全体で約15キロバイトしかなく、見出しのタグが1つも入っていませんでした。
本文も入っていません。中身は空の箱だけで、文章は訪問者のブラウザが後から組み立てる仕組みになっていました。
つまり、ブラウザで見れば普通に文章が表示されますが、ファイルそのものには文章が入っていません。この組み立て処理を行わないクローラーからは、タイトルと説明文しか見えません。
Jimdoであれば、まだいいです。こちらは中身がファイルに入っていたので読み取れました。ただし別の問題があります。コンテンツが増えてくると管理が大変になることです。
記事が数本のうちは問題ありませんが、ロングテールを強化していくと記事数は増えていきます。50本、100本と増えたときに、整理や一括修正がしづらくなります。
ロングテール戦略は記事数で勝つ方法なので、記事が増えても管理できるツールを選んでください。この点でもWordPressが向いています。
見た目の自由度やデザインの手軽さで選びたくなる気持ちは分かります。ただ、検索から人を集める目的があるなら、読まれる形で書き出されるかどうかを先に確認してください。
SEOの基本は、たった2つです
ここまで戦略の話をしてきました。実際の作業はもっと単純です。
まず、タイトルに上位表示させたい言葉を入れます。
これが一番効きます。狙っている言葉がタイトルに入っていないと、その言葉で評価されません。逆に言えば、入れるだけで最低限の勝負ができます。入れる位置はできるだけ前のほうがいいです。
次に、その言葉を検索する人が探しているコンテンツを本文に書きます。
ここが本質です。タイトルに言葉を入れただけで中身が違っていると、読んだ人がすぐ戻ります。戻られると評価が下がります。
だから書く前に考えるのは、その言葉で検索した人が何を知りたいのかです。価格を知りたいのか、やり方を知りたいのか、やるべきかどうか迷っているのか、業者を探しているのか。これによって書く内容が変わります。
実際に検索してみるのが一番早いです。上位に出てくるページを見れば、Googleがその言葉をどういう意図だと判断しているかが分かります。
価格の比較ページばかり並んでいるなら、その言葉は価格を調べる言葉です。そこにやり方の解説を書いても合いません。
あと3つ、気をつけること
基本の2つ以外に、押さえておきたい点があります。
ひとつ、表示速度です。開くのが遅いページは評価が下がります。それ以上に、人が待ってくれません。画像のサイズを落とす、使っていない機能を減らす。この2つで改善することが多いです。
ふたつ、同じ内容のページを複数作らないことです。これをやってしまう人が多いです。地域名だけを変えた記事を量産する、過去の記事を少し直して新しい記事として出す。こういうやり方をすると、同じ内容のページが自分のサイト内で競合します。
Googleから見ると、どちらを出すべきか判断できません。結果、どちらも評価されないことがあります。本数が増えても順位が上がらないのは、これが原因の場合があります。
地域を変えて書くなら、文章そのものを書き直してください。その地域の事情に合わせて中身を変えるという意味です。
みっつ、すぐに結果を求めないことです。SEOは半年から1年かかります。ドメインのパワーが弱い状態から始めるなら、なおさら時間がかかります。3か月で判断すると、ほとんどの場合「効かない」という結論になります。
やる順番
ここまでの内容を順番にします。
ステップ1は、WordPressで作ることです。すでに別のツールで作っている場合は、ファイルに文章が書き出されているかを確認してください。
ステップ2は、ロングテールのキーワードを探すことです。大きい言葉は狙いません。言葉を組み合わせた具体的な検索を集めます。BtoBなら、業種や条件を組み合わせた形になります。
ステップ3は、その言葉で実際に検索して、上位のページを見ることです。Googleがその言葉をどういう意図だと判断しているかを確認します。
ステップ4は、タイトルに言葉を入れて、検索した人が探している内容を本文に書くことです。
ステップ5は、集まったアクセスに当てる商品を増やすことです。無形の商品から考えてください。ここをやらないと、アクセスが増えても売上が増えません。
ステップ6は、続けることです。半年は様子を見てください。
よくある質問
SEOの相談でよく聞かれることをまとめました。
Q: ロングテールは検索数が少ないので、意味がないのではないですか?
A: 1本では少ないです。だから本数で積み上げます。月に20回しか検索されない言葉でも、30本あれば月600回分の入口になります。
そして来る人の目的がはっきりしているので、問い合わせにつながる率が高くなります。大きい言葉で1本だけ上位を取るより、現実的で安定します。
Q: すでにSTUDIOで作ってしまいました。作り直すべきですか?
A: 目的によります。ChatGPTやClaudeに紹介してほしいなら、作り直す価値があります。名刺代わりに置いているだけ、あるいはSNSから来た人に見せるためのものなら、そのままでも構いません。
すべてのAIが読めないわけではないので、まったく無駄になるという話ではありません。何のためのサイトかを先に決めてください。
Q: 記事は何本くらい書けばいいですか?
A: 本数の正解はありませんが、ロングテール戦略は積み上げる方法なので、数十本の規模になります。ただし同じ内容を薄く増やしても意味がありません。
1本ごとに別の検索意図に答えているか、という基準で増やしてください。それと、増やすのと同時に商品の種類も増やしてください。
Q: 商品を増やすと、何をやっている人か分からなくなりませんか?
A: 本業を変える話ではありません。同じ本業の前と後と横に、無形の商品を置くという話です。入口の相談、後ろのサポート、横の講座。
どれも本業につながっているので、軸はぶれません。逆に、本業と関係のないものを増やすと分かりにくくなるので、そこは避けてください。
まとめ
時間の感覚で整理しておきます。SEOを3か月で判断してやめてしまう人が多いので、どこで何が起きるかを先に知っておいてください。
最初の1か月でやるのは準備です。WordPressで作られているかを確認する。作られていないなら、ファイルに本文が書き出されているかを調べる。そして狙うロングテールの言葉を書き出して、ひとつずつ実際に検索して、上位に何が並んでいるかを見ておく。
1か月目から3か月目は、書く時期です。順位はほぼ動きません。ここで焦って大きい言葉に手を出すと、また上がらずに終わります。動かない時期だと分かって書き続けるのが、この3か月の仕事です。
3か月目から半年で、細かい言葉が少しずつ拾われ始めます。アクセス数より、どの言葉で来たかを見てください。自分が狙った言葉で来ているなら順調です。
そして半年を過ぎたあたりで、本当の課題が出てきます。アクセスはあるのに問い合わせが来ない、という状態です。ここで必要になるのが商品の種類です。入口を10種類作ったなら、受け皿も複数必要になる。無形の商品を本業の前と後と横に並べておくのは、この時期のための準備です。
書く作業自体は最後まで単純なままです。タイトルに狙う言葉を入れて、その言葉で検索した人が探している内容を本文に書く。表示速度を落とさない。同じ内容のページを増やさない。これだけを1年続けられるかどうかで差がつきます。
