
大阪市内に、2つの小売店があるとします。
1つは住宅街にある日用品の店です。もう1つは中崎町にある雑貨店です。この2つが同じ集客方法をやっても、結果が変わります。
理由は、お客さんが来られる範囲が違うからです。日用品を買うために電車に乗る人はいません。趣味の雑貨なら、電車で30分かけて来ます。
小売店の集客は地域密着型になります。ただしその「地域」の広さが、扱っているもので変わります。 ここを決めないまま手段を選ぶと、合わない方法に時間を使うことになります。
強い順に並べた集客方法
小売店で効く順番は、だいたい決まっています。
- 立地前を通る人の数と、見つけやすさ
- 看板通った人が店の存在に気づけるか
- MEO対策Googleマップで探されたときに出てくるか
- チラシ近くに住んでいる人に直接届ける
- スレッズ地域の人と文章でやりとりする
- インスタグラム商品の見た目で選んでもらう
- ホームページ来る前の確認に使われる
上の3つが土台になります。MEO対策、SNSの選び方、看板の出し方については大阪の店舗集客方法に書いています。 立地の弱さを看板とGoogleマップで埋める考え方は大阪の治療院の集客方法で扱っています。Googleマップの登録手順はグーグルマップ登録方法です。
立地が一番強いのは、小売店には買う予定がなかった人が入るからです。 通りがかりに目に入って、そのまま中に入ります。治療院のように、痛みが出てから探して来る業種とは違う部分です。前を通る人の数が、そのまま来店の数につながります。
ただし立地は、すでに店を開いていれば変えられません。 だから打ち手として最初に手を付けるのはMEO対策になります。小売店の集客は、まずMEOです。そのあとにスレッズやインスタグラムが来ます。
業態によって、力を入れる集客方法が変わります
強い順は上のとおりですが、どこに力を入れるかは業態で変わります。
1、100円ショップやスーパーは、立地と看板です
日用品を安く数多く売る業態です。買う人は、目的の品を近くで安く買いたいだけです。
この業態では、立地と看板の比重が一番高くなります。 前を通る人の数が売上に直結し、看板で店の存在と扱っているものが分かれば入ってもらえます。
SNSで世界観を作る作業は、この業態では効きにくくなります。見せるものが他の店と同じだからです。
2、こだわり雑貨や手芸屋は、インスタグラムとスレッズとYouTubeです
こだわりの雑貨、アフリカ雑貨、手芸の材料。その店にしかないものを置いている業態です。
こちらはインスタグラム、スレッズ、YouTubeから入ります。 置いてあるものを見せると、それを探していた人が遠くからでも来るためです。
立地が一番強いのは、この業態でも変わりません。 ただし立地だけでは、その店にしかないものがあることが伝わりません。だからインスタグラムやスレッズで見せる必要があります。
インスタグラムが入口として働く業態かどうかの判断はインスタグラムの投稿ネタがない店舗へで扱っています。
日用品の店と雑貨店では、商圏が違います
小売店の集客で、手段より先に決まるのがここです。
小売店は、大きく2つに分かれます。日用品を売る店と、雑貨店のように趣味の商品を売る店です。 この2つは商圏が違います。
1、日用品を売る店
商圏は狭くなります。歩いて行ける範囲か、自転車で5分の範囲です。
買うものが決まっていて、どこで買っても同じだからです。近いことが選ぶ理由になります。遠くの店を選ぶ理由がありません。
だから集客の対象は、その範囲に住んでいる人だけになります。範囲の外に向けた発信は、数が増えても来店に変わりません。
2、趣味の商品を売る雑貨店
商圏は広がります。電車で30分、車で1時間の範囲まで入ります。
置いてあるものが店ごとに違うからです。その店にしかないものがあるなら、人は移動します。
扱うものを絞るほど、商圏は広がります。絞ることで遠くから来る理由が生まれます。 絞り方の考え方はニッチ市場の見つけ方に書いています。
商圏が変わると、ペルソナも変わります
商圏が決まると、来る人の像も決まります。
日用品の店に来るのは、その町に住んでいる人です。 主婦や高齢者が中心になります。買う時間帯は夕方と午前中です。来る回数は週に2回から3回。1回に使う金額は小さくなります。
雑貨店に来るのは、その店を目的に移動してきた人です。 20代から30代が中心になることが多くなります。来るのは週末です。来る回数は月に1回か、季節に1回。1回に使う金額は大きくなります。
この2つは、同じ言葉が届きません。
日用品の店が「こだわりの逸品」と書いても、近所の人は反応しません。雑貨店が「毎日のお買い物に」と書いても、わざわざ電車に乗る理由になりません。どちらの店なのかで、書く内容が変わります。
大阪はエリアで客層が変わります
商圏の広さとは別に、大阪では店を出す場所によって歩いている人が変わります。 同じ雑貨店でも、置くものと見せ方が変わります。
1、難波は観光客が多くなります
旅行で来た人が歩いています。持ち帰れるもの、その場で決められるものが向きます。
一度しか来ない人が多いので、リピートを前提にした作りにはなりません。
2、本町と堺筋本町はオフィス立地です
OLとサラリーマンが中心です。 平日の昼と、帰りの時間に人が動きます。
休日は人が減ります。平日だけで売上を組む前提になります。
3、天王寺は年配の方と10代が多くなります
上の世代と、若い世代に分かれます。 10代が多いのが特徴です。
この2つは買うものが違うので、どちらに向けるかを決めることになります。 両方に向けると品揃えがぼやけます。
4、梅田は20代から30代のワーキング世代です
OLと、20代から30代の働いている人が中心です。男女ともに多くなります。
買う力があり、新しいものを見に来る人が多いエリアです。価格帯を上げても通ります。
エリアの性格は、同じ地名でも業態によって見方が変わります。 飲食の業態から見た大阪のエリアの違いは大阪のカフェの集客方法で扱っています。
来ている人の住んでいる場所を地図に置きます
商圏の広さは、感覚ではなく地図で確かめられます。
やることは2つです。
1、今来ている人の住んでいる場所を印にする
会計のときに聞いた地名を、地図に印として置いていきます。どこから来られたか?を聞くだけです。20人分たまれば形が見えます。
印が店の周りに固まっていれば、商圏は狭い店です。 広く散っていれば、目的を持って来てもらえている店になります。
2、円の外にかけている手を数える
印の外側に向けて使っている手段を数えます。
商圏の外に届く手段に時間を使っていると、見られる数は増えても来店が増えません。 日用品の店で全国に向けた発信をしている状態がこれにあたります。
この2つで、使う手段を入れ替える判断ができます。地図を見ずに手段を足すと、合わないものが混ざります。
商圏の広さで、チラシとSNSの使い分けが決まります
商圏が決まると、使う手段も決まります。
日用品の店はチラシが効きます。 配る範囲を商圏に合わせられるためです。歩いて来られる範囲だけに入れれば、無駄が出ません。
ただしチラシの反応率は落ちています。外壁塗装業者の集客方法に書いていますが、以前なら1,000枚配って2、3件あったものが、今は10,000枚配って1件あるかどうかという業種もあります。 枚数を増やすより、同じ範囲に繰り返し入れるほうが残ります。
雑貨店はインスタグラムが効きます。 届く範囲が地域で区切られていないことが、この場合は利点になります。遠くの人に見つけてもらう必要があるためです。
置いてあるものを写真で見せられる業態でもあります。見た目で「行ってみよう」となる商品を扱っているなら、入口として働きます。 投稿が続かない場合の考え方はインスタグラムの投稿ネタがない店舗へに書いています。
スレッズは、どちらの店にも効きます。 文章中心で、近くの人とのやりとりが生まれやすいためです。写真の質を上げる作業も要りません。使い方はスレッズのセミナーでお伝えしています。
看板に書く内容も、商圏で変わります
看板は順番の2番目です。小売店の場合、書く内容が商圏で変わります。
日用品の店の看板には、何の店かと、価格の目安を入れます。 近所の人は、毎日その前を通っています。知りたいのは「ここで買えるか」と「高くないか」です。屋号だけ大きく書いてあると、何を売っているか分かりません。
雑貨店の看板は役割が違います。遠くから来る人は、場所を調べて来ています。 だから「ここだと分かること」が仕事になります。店の名前と、置いてあるものの雰囲気が伝わる形にします。
つまり日用品の店の看板は通行人に向けたもので、雑貨店の看板は来ると決めた人に向けたものです。 同じ看板でも、役割が入れ替わります。
小売店はリピート対策が効きます
小売店で見落とされやすいのが、2回目です。
小売店は、競合と同じ商品を扱うことが多い業態です。 日用品なら、隣の店にも同じものがあります。だから一度来た人がもう一度来るかどうかで、売上が決まります。
新しい人を集める作業は、毎月同じだけ手間がかかります。一度来た人にもう一度来てもらうほうが、かかる手間は小さくなります。
1、クーポン券
一番手軽な方法です。会計のときに渡します。
次に使える形にしておくことが条件です。 期限と、使える金額を書きます。期限がないと、財布に入ったまま忘れられます。
日用品の店なら、来る回数が多いので期限は短くします。雑貨店なら来る間隔が長いので、期限を長めに取ります。 ここも商圏で変わります。
2、LINE配信
連絡先が残る形です。クーポン券と違って、こちらから何度も声をかけられます。
登録してもらうきっかけを作ります。 その場で登録すると割引になる形が一番集まります。帰ったあとにお願いしても登録されません。
配る内容は、入荷の知らせと、期間限定の案内です。毎日送ると解除されます。 週に1回か、入荷があったときだけで足ります。使い方はLINE公式アカウントのセミナーで扱っています。
専門店で企業向けなら、メルマガも効きます
小売店の中でも、扱うものが専門的で、買う相手が会社の場合は別の手段が入ります。
メルマガです。
会社の担当者は、個人のLINEで仕事の連絡を受けません。仕事で使っているのはメールです。 だから届く場所が変わります。
文房具、梱包材、作業着、厨房用品。こうしたものを扱っていて、相手が会社なら、メールで届ける形が合います。担当者が変わっても、会社のアドレスなら届き続けます。 送る内容と頻度の決め方はメルマガのセミナーでお伝えしています。
個人のお客さんが中心なら、LINEのほうが開かれます。どちらを選ぶかは、相手が会社かどうかで決まります。
ホームページを最後に置く理由
順番の最後がホームページです。要らないという話ではありません。役割が、人を集めることではないからです。
小売店のホームページは、来る前の確認に使われます。 場所、営業時間、駐車場があるか、どんなものを置いているか。Googleマップや看板で見つけた人が、ここで確かめます。
だから立地と看板とMEO対策が埋まる前に作っても、見に来る人がいません。見つけてもらう手段が先で、確かめる場所が後になります。
1つの手段だけに頼る問題は別にあります。 店舗集客をブログだけでやろうとする記事に書いているとおりです。ホームページだけで小売店の集客を作ろうとすると、順番が逆になります。
よくある質問
小売店のご相談で実際にいただく質問です。
Q: 自分の店が日用品側なのか雑貨側なのか分かりません。
A: 今来ているお客さんに、どこから来られたか?を聞いてください。5人に聞けば傾向が出ます。歩いて来た人が多ければ日用品側、電車や車で来た人が多ければ雑貨側です。扱っているものの見た目ではなく、来ている人の移動距離で決まります。
Q: 日用品と雑貨の両方を置いています。
A: どちらで売上が立っているか?で決めてください。両方に向けた発信をすると、どちらにも届きません。売上の大きい側に合わせて、もう一方はついで買いとして扱う形になります。
Q: チラシは何枚配ればいいですか?
A: 枚数より範囲です。日用品の店なら歩いて来られる範囲だけに入れてください。その範囲に繰り返し入れるほうが、広く1回配るより残ります。
Q: クーポン券とLINE配信は、どちらを先に始めますか?
A: クーポン券が先です。印刷するだけで始められます。LINE配信は登録してもらう作業が入るので、クーポン券を渡すときに一緒に案内する形にすると進みます。
Q: LINEに登録してもらえません。
A: 会計のときにその場でお願いしてください。帰ったあとでは登録されません。登録するとその日から使える割引を付けると集まりやすくなります。
Q: LINE配信は何を送ればいいですか?
A: 入荷の知らせと、期間限定の案内です。毎日送ると解除されます。週に1回か、入荷があったときだけで足ります。
Q: メルマガはもう古いのではないですか?
A: 相手が会社なら、今もメールで届きます。仕事の連絡を個人のLINEで受ける担当者は多くありません。個人のお客さんが中心なら、LINEのほうが開かれます。
Q: インスタグラムをやっていますが、来店につながりません。
A: 商圏の外に向けて発信している場合があります。日用品の店なら、見られている相手が来られる範囲にいるかを確かめてください。雑貨店なら、遠くから来る理由になる商品が写っているかを見てください。
Q: ホームページを先に作るように勧められています。
A: 小売店では後ろの順番になります。見に来る人は、看板やGoogleマップで店を見つけた人です。見つけてもらう手段が埋まっていない状態で作ると、見る人がいません。
Q: 立地が悪い場所にあります。
A: 看板とMEO対策で埋める形になります。そのうえで、日用品側なら商圏を狭く取り直してチラシに寄せる、雑貨側なら扱うものを絞って遠くから来る理由を作る。どちらに寄せるかを決めてから手を動かしてください。
まとめ
今来ているお客さんに1つ聞いてみると、方向が決まります。
「どこから来られましたか」です。
歩いて来た人が多いなら、商圏は狭いです。使うのはチラシとクーポン券になります。範囲の外に向けた発信は、数が増えても来店に変わりません。
電車や車で来た人が多いなら、商圏は広いです。使うのはインスタグラムになります。そして扱うものを絞るほど、来る理由が強くなります。
どちらの場合も、2回目の来店を作る手は同じだけ効きます。 クーポン券かLINE配信か、相手が会社ならメールか。渡す場所は会計のときです。帰ったあとでは間に合いません。
そして力を入れる集客方法は、扱っているもので変わります。日用品を安く数多く売る店なら立地と看板、その店にしかないものを置く店ならインスタグラムとスレッズです。 強い順は同じでも、手を動かす場所が入れ替わります。
